クラウドドクター代表取締役/医師・赤松敬之が語る「誰1人取り残さない医療を!」

誰1人取り残さない医療を─。今も外来の患者さんを診療しながら、経営者としてオンライン診療の普及を広げるための事業活動にも多くの時間を当てています。それはこのままでは日本の医療が立ち行かなくなるという強烈な危機感を抱いているからです。

 この取り残されない代表的な患者さんとして独り暮らしのご高齢者が挙げられますが、都会に住む若者も同様です。体調が悪くて動けないケースもあります。病院に行きたくても行けないといったケースもその理由は様々です。つまり、医療を求めるニーズは大きく変化しているということです。

 ところが医療現場でのデジタル化は遅れており、今でも紙ベースのカルテが主流となっており、医療機関同士で患者さんの情報を共有することはありません。

 医師の働き方のニーズも変わってきています。勤務医の場合、夜勤中、その時間帯全てが診療や手術で埋まっているわけではありません。子育てで産休中の医師もいます。もっと働きたいと考えている医師もいるのです。こういった活用されていない医師ライセンスを人手不足の今こそ活かさない手はないと思うのですが、そういったニーズにも医療業界は応えていません。

 私はこれらの課題に対応すると共に、もっと医療が人のためになる存在へとブラッシュアップしたいと考えて当社を2024年に設立しました。

「予約しない、最短3分でつながるオンライン診療」というコンセプトの下、患者さんは手元のスマートフォンひとつで最短3分、24時間365日、医師に相談・診療・薬の受け取りができるオンライン診療プラットフォーム「クラウドドクター」を開発・運営しています。

 私が医療を志したのは父の影響です。私の実家は診療所で、2歳の頃には「医師になる」と決めていました。というのも、私が物心ついたときから、私のヒーローは父だったからです。

 父はたとえ家族での外食中でも呼び出しがあれば即座に病院へ駆けつけるなど、休みのない生活を送っていました。患者さんからは「先生、ありがとうございます」と言われて信頼されている父の姿を誇らしく思ったことを今でも鮮明に覚えています。

 次に私に大きな影響を与えたのが医学部を卒業した後に勤務した「三木山陽病院(兵庫県三木市)」の院長先生です。「何でも診る」をモットーに、患者さんのニーズを深く理解し、この病院でできることは何でもやるという医師でした。

 この尊敬する2人の背中を見てきた私も忙しい患者さんに、複数の病院に通う時間と手間をかけさせることなく、身近な病院で完結できるクリニックを開設しました。それが20年に大阪・堂島の地下街に開院した「西梅田シティクリニック」です。

 コロナ禍はPCR検査で1日当たり4000人もの検査を実施。ただ、外出できない人や感染を恐れて病院にいけない人など、誰もが来られるわけではありません。そこでオンライン診療をスタートさせました。

 医師である自分が医療人という視点で患者さんに必要な医療を提供できる環境を整えることで、誰が担当しても常に質の高い医療を提供できる〝標準化された仕組み〟を提供できます。

 持続可能な医療を実現するためには、経営という視点が不可欠です。そして、その経営を軌道に乗せるためには患者第一の視点が求められるのです。我々、医師も意識改革が必要なのです。

【2026年をどう占いますか?】 答える人 塩野義製薬会長兼社長CEO・手代木 功