
「21世紀は太平洋の時代だ」─。1970年代、当時の東急電鉄(現東急)社長・五島昇の言葉です。五島昇が提唱したこの「環太平洋構想」においてホテルは〝点〟の役割を果たしてきました。それから半世紀余が経ち、日本はインバウンド4200万人時代を迎えています。
1960年の「銀座東急ホテル」開業以来、当社は内需だけではなく外需=観光にスポットを当て、グローバルスタンダ―ドに則ったホテルづくりを進めてきました。国際情勢が混沌としている中でも、インバウンド需要は底堅く推移しています。
そんな中で当社は世界最大級の独立系ホテルブランドによるアライアンス「Global Hotel Alliance(GHA)」に加盟しました。これにより、日本ならではのおもてなしを提供する日本発のブランドを維持しながら世界最大級の会員基盤に参画することができるようになります。
GHAには「アナンタラ」「カペラ」「パンパシフィックホテルズ&リゾーツ」など、世界100カ国・50ブランド・950超のホテルが加盟しており、会員は世界で3400万人以上です。当社がGHAに加盟することで得られるメリットは大きく3つあります。
1つ目が顧客基盤の地理的ポートフォリオの分散・拡充です。当社のインバウンド宿泊客の地域別比率は東アジアと北米で6割超を占めており、若干偏りが見られます。GHAは欧州・東南アジアの会員が多く、より幅広い地域へと顧客層を拡充できるとともに、足元の中国・中東情勢のような環境変化への対応力強化を進めることができます。
2つ目がGHA会員への直接リーチによる収益改善です。欧州の長期滞在客やアジアで増加する富裕層など新たな顧客層の取り込みが期待できる上に、直接予約の増加による送客手数料の削減効果も見込まれます。
3つ目が約110万人を数える当社の既存会員の満足度向上です。これまで当社の会員特典は国内中心に提供してきましたが、世界中のホテルでの優待料金の適用や「ディスカバリー ドル」と呼ばれるリワード通貨の獲得・使用が可能になります。
インバウンド需要という追い風も受け、当社運営ホテルの外国人比率(2024年度)は収入ベースで50%を超え、稼働ベースでも40%超です。現状25年度では稼働ベースでも50%に迫っています。
その中でも際立っているのがインバウンドに人気の渋谷と新宿です。東急グループの本拠地である渋谷エリアのホテルでは8割超、新宿では9割超の外国人比率となっています。
我々は渋谷をハブに日本全国のレジャー・デスティネーションを楽しんでいただきたいと考えています。当社はインバウンドに人気の都市や宮古島・白馬といった本格リゾートまで全66ホテルを全国に展開しています。ロビーなど共用部分では非日常を味わい、客室ではゆっくりくつろいでいただける日本のホテルの魅力を世界中の方々に味わって欲しいのです。
実はこの日本発のブランドを維持しながら、世界最大級の会員基盤に参画することは日本のホテルチェーンでは初の取り組みになります。私自身、父の部屋にあった東急グループの歴史を記した著書を学生時代に読んで「何もないところにモノをつくる会社だ」という点で東急グループへの就職を決めました。
挑戦こそ東急グループのDNAです。これまで培ってきた卓越したサービスと顧客満足への高い志を挑戦と融合させて世界中のお客様に日本の魅力を感じていただきたいと思っています。
【 ZAIKAI TOP FILE 】アールエヌティーホテルズ社長・本山浩平「人による ホスピタリティや 食を強みに 新ブランド展開へ」