NTTデータグループは11月4日、2026年3月期 第2四半期(4月~9月)決算を発表した。売上高は対前年1204億円(5.4%)増の2兆3605円、営業利益は同1200億円(80.5%)増の2690億円と、増収増益となった。
四半期利益も対前年同期1018億円(189.6%)増の1556億円と大きく伸ばした。受注高は同2492億円(10.0%)増の2兆7497億円と二けた成長となった。
NTTデータグループ 代表取締役社長 CEO 佐々木裕氏は、「受注高は日本も海外も好調。日本は金融で大型案件を獲得し、海外ではNTTデータ グローバル・サービス(GTSS)にデータセンター事業で過去最大の受注があった」と説明した。
日本セグメントの業績
日本セグメントにおいて、受注高は公共・社会基盤分野、金融、法人の3分野すべてで増加した。金融は大型案件の受注で、対前年度1077億円増の3693億円の受注高となった。
売上高もテレコム・ユーティリティ向け、地域金融機関向け案件の規模が拡大した影響から、3分野すべてで増収となった。
営業利益は、公共・社会基盤分野が中央府省における昨年の高利益率案件の剥落および販管費の増加により対前年減益となった。
海外セグメントの業績
海外セグメントでは、North Americaの複数大型案件獲得、GTSSのデータセンター事業における過去最大規模の受注等により、North America・EMEAL・APAC・GTSSとすべてのユニットで増加した。
売上高は、GTSSのDC事業は好調さを継続しているが、North AmericaやAPACで減収した。EBITAはNorth America、EMEAL、APACが減益、GTSSはデータセンター事業やSAP事業により増益となった。
佐々木氏は、海外事業について「North Americaは苦戦したときもあったが、現在は大型案件に注力している。APACは、オーストラリアにおいて問題のプロジェクトが複数あるが、新しいリーダーが立て直しを図っており、当初の計画達成に向けて取り組む」と語った。
海外セグメントのデータセンター事業
AIの需要高まりを受けて、グローバルで需要が高まっているデータセンター事業だが、保有する6つのデータセンターを今年7月14日にシンガポール証券取引所へ新規上場した不動産投資信託のNTT DC REITへ譲渡した結果、第2四半期に譲渡益880M$(1,295億円)を計上している。
佐々木氏は、データセンター事業について次のように説明した。
「中国を除いて世界で3位につけている。ハイパースケーラーが自らデータセンターを建設する一方、事業者からも借りているなど、全体のマーケットが伸びている。それに応えるため、一定の投資を継続する」
データセンターへの投資については、「キャッシュを回す必要があるのでDC REITへ譲渡したが、素晴らしい一歩となった。ここで得た利益を活用してキャッシュを回していく。第3社資本を活用するスキームも検討しており、以前より大きな投資をすることを考えている」と、佐々木氏は積極的な姿勢を見せた。
AI関連の新会社を設立
同社は主力事業の展開に加え、“AI-empowered New Value & Productivity”、” Next-Gen Infrastructure”への取り組みを強化する。その一環として、今年11月にNTTデータグループ全体のAIビジネス拡大牽引をミッションとする 新会社を米国シリコンバレーに設立する。
新会社では、高度AI人財によるAIビジネス創発やパートナーエコシステムの構築を手掛ける。佐々木氏は、新会社設立の狙いについて「AIは進化が速いので、グローバル水準の技術を把握しておくことが肝要と考えている。LLMを開発しているOpenAIをはじめビッグテックベンダーと競争するつもりはない。彼らのAIとtzuzumiやMistral AIといったスモールサイズのAIをどう組み合わせるかについて検討する」と説明した。
今年5月には、OpenAIとグローバルを対象とした戦略的業務提携を開始し、今年7月にはMistral AIとプライベートAIを共同開発・販売するパートナーシップを締結したことを発表した。
NTTとのシナジー
NTTの決算会見でも質問が出たが、NTTの子会社化に伴う連携については討議中だという。
佐々木氏は、「グローバルの競争力強化を論点に議論を進めている。グローバルでのポジションをどう押し上げるか、特にAI、クラウド、サイバーセキュリティについて議論している。国内におけるシナジーに目が行きがちだが グローバルの戦略を立てたうえで、日本はグローバルの一部と考えている」と述べた。
また、NTTの代表取締役社長 島田明氏は、「NTTデータグループとNTTは顧客数が異なる。NTTデータの顧客数が数百であるのに対し、NTTは千の後半で、カバーや深堀の度合いが異なる。アカウントをまとめるべきか、個社で議論が必要。NTTデータがどういう方向性でビジネスをするのか、戦略と合わせて検討を始めている。来春以降に詳細を発表する」と語っていた。



