NTTは11月4日、2025年度第2四半期の連結決算を発表した。営業収益は対前年1821億円(2.8%)増の6兆7,727円と前期に続き過去最高を更新した。営業利益も同248億円(2.7%)増の9450億円、当期利益は同409億円(7.4%)増の5957億円と、増収増益を達成した。
EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は同549億円(3.3%)増の1兆7405億円。
NTT 代表取締役社長の島田明氏は「第2四半期として最高収益を達成した。その要因としては、法人ビジネスやデータセンター事業の拡大がある。ドコモの顧客基盤を強化するためコストがかかったが、下期もモバイルネットワークの競争力強化に取り組む」と説明した。
すべてのセグメントで増収
営業収益の内訳を事業セグメント別に見ると、総合ICT事業、グローバル・ソリューション事業、地域通信事業、その他(不動産、エネルギー等)とすべてのセグメントで増収となった。
一方、営業利益の内訳を事業セグメント別に見ると、グローバル・ソリューション事業以外は減収となった。島田氏は、総合ICT事業について、「金融は好調だったが、モバイル事業の収益が減った。モバイル市場は下期も厳しい競争環境が予想され、法人ビジネスの拡大やコスト削減により、連結利益達成を目指す」と述べた。
会見ではドコモについて質問が相次いだが、島田氏は「irumoの新規受付を停止した影響で、第2四半期はMNPがマイナスになったが、10月は戻っている。今が正念場と思っているので、コストをかけても販売体制の強化をしてもらいたい」と語っていた。
グローバル・ソリューション事業は為替の影響を受けたものの、増収増益で着地し、年間計画より上の利益を目指す構え。
地域通信事業は、レガシービジネスの減少はあるが、 光事業や法人ビジネスで増収となり、利益は前年並みを確保した。
自動運転事業を推進する「NTTモビリティ」新設
同日、自動運転事業を推進する「NTTモビリティ株式会社」を今年12月に設立することが発表された。新会社では、NTTグループ各社が推進してきた全国各地での自動運転サービスの導入・運用を、包括的に支援するワンストップサービスを提供する。グループ会社の自動運転事業を集約するメリットについて、島田氏は、プラットフォームが統合されることを挙げた。
また、NTTグループが強みを持つ通信ネットワークサービス等の活用を通じて、自動運転レベル4に求められる要件・課題を解決するソリューションや関連サービスも展開する。
2027年度までに、遠隔監視システムやインフラ協調システム等をはじめ、NTTグループの強みを生かした自動運転サービスの提供を目指す。
島田氏は「政府のロードマップに合わせて、2030年には数百億円程度のビジネスに成長させたい。タクシー会社は車はあるがドライバーがいない状況にあり、こうした社会課題を解決したいと考えている。ニーズはあるので、そこをとらまえていきたい」と述べた。
大阪・関西万博後のビジネス展開
NTTグループは大阪・関西万博に出展したが、同社のパビリオンの来場者は約39万人で、IOWNを活用したパフォーマンスが好評だったという。NTTグループ95社延べ2300人の社員が参加し、「グループ間の醸成につながった」と島田氏は話していた。
今後は、大阪・関西万博で得られたノウハウを活用し、IOWNのビジネス展開を加速するという。例えば、IOWN APNでは、大規模なスポーツイベントでの活用や海外での商用提供を実現する。また、IOWN光コンピューティングでは、パートナー企業との連携により光電融合デバイスを用いた光スイッチを商用化し、2028年にはNTT独自技術を活用した光チップレットの商用化を目指す。
また、万博の展示物に関して、「常設は難しいが、R&Dフォーラムで見せるなど、考えていきたい。今後は、実装化のフェーズになる」と、島田氏は語っていた。



