
高市早苗・自民党新総裁の下で、財務省は”逆風”にさらされるかもしれない。総裁選の論戦でこそ高市氏は持論を抑制していたが、本音はかなりの積極財政派だ。
衆参両院で少数与党の今、野党との連携先の筆頭は国民民主党が有力視されているが、国民民主はこの数年の税収の上振れを踏まえ、「年収の壁」など物価高対策では一貫して財源確保論を一蹴しており、高市氏と気脈が通じる。
国民民主の玉木雄一郎代表は財務官僚出身なだけに、財務省の”手口”を熟知している点も財務省にとってはやっかいだ。年末にかけた2026年度税制改正大綱や当初予算のとりまとめに向け、財務省は正念場を迎えそうだ。
今回の自民総裁選で財務省は失態をさらした。長年、「家庭教師のように政策面で長年支えてきた」(自民幹部)小泉進次郎農林水産相の勝利を総裁選序盤から確信したのか、各社財務省担当記者とのオフレコ懇談などの場で幹部はそろって「高市は勝てるわけない」など吹聴していたのは公然の事実だ。
だが、論戦が始まると小泉氏は安全運転と称し、簡単な質疑応答ですらカンペを読むことに徹して発信力は大きくそがれ、自民党員のみならず世論も小泉氏の資質を不安視した。
高市氏の勝利直後、財務省幹部は皆「大変なことになった」と慌てたが、何をかいわんやだろう。小泉氏の敗北は当然本人の責任だが、将来の首相候補の経歴に傷をつけた財務省の地位低下も避けられない。
ただ、今回の自民執行部人事では、財務相経験もある麻生太郎元首相が勢いを回復し、高市氏に対する一定の影響力を持つ。麻生氏は財政規律を重視する考えで、次の財務相や、退任する宮沢洋一自民税調会長の後任(小野寺五典氏の起用が有力)が誰であっても、大幅な歳出増を認める勢力は政府・与党では見当たらない。高市新首相の積極財政志向を維持しつつ、財政に配慮した経済対策をどう打ち出すのか、財務省の調整手腕が問われることになる。