Amazon Adsは9月4日、年次イベント「Amazon Japan Upfront 2025」をパレスホテル東京において日本で初めて開催した。当日は、Prime Videoの人気コンテンツ『沈黙の艦隊』の実写映画第二弾や「NBA」「NLB」などのスポーツ番組、『ラブ トランジット』シーズン2などの新コンテンツに加え、「Prime Video広告」の新たな3つの広告フォーマットが発表された

  • 「Amazon Japan Upfront 2025」の模様

    「Amazon Japan Upfront 2025」の模様

大沢たかおさん、指原莉乃さんも登場

「Amazon Upfront」は、Amazon Adsの広告ソリューションやビジネス戦略、インサイトを発表する年次イベントだ。アメリカではテレビ業界の10月の番組改編期に併せて5月に開催され、業界向けの映像コンテンツの試写会を行い、映像の買付などの商談が行われる。今回、日本ではAmazon Ads の動画広告に関するビジネス戦略や最新のインサイト、サービス、Prime Videoの最新コンテンツの発表が行われた。

まず、かわぐちかいじ原作で「Prime Video」オリジナルコンテンツとして2024年に配信された『沈黙の艦隊 シーズン1 東京湾大海戦』のスタッフによる新作映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』の主役の海江田 四郎を演じた大沢たかおさんも登場した。

  • イベントに登壇した大沢たかおさん、Prime Videoジャパン カントリーマネージャーの大石圭介さん、Amazon MGMスタジオ プロデューサーの戸石紀子さん

    イベントに登壇した大沢たかおさん、Prime Videoジャパン カントリーマネージャーの大石圭介さん、Amazon MGMスタジオ プロデューサーの戸石紀子さん

加えて、新コンテンツとして配信されるアメリカで大人気のバスケットリーグNBAとWNBAの楽しみ方や、元恋人同士が集まり、約1カ月間ホテルで共同生活する恋愛バラエティ番組『ラブ トランジット』のシーズン2の発表などが行われた。

  • 『ラブ トランジット』でMCを務めるシソンヌの長谷川忍さん、指原莉乃さん、麒麟の川島明さん

    『ラブ トランジット』でMCを務めるシソンヌの長谷川忍さん、指原莉乃さん、麒麟の川島明さん

3つの新しいPrime Video 広告フォーマットの特徴

加えて、同社の広告サービス「Prime Video広告」の3つの新プラットフォームも発表された。「Prime Video広告」は、世界での月間平均広告リーチ数が2億人以上(同社内部データ、2024年5月調べ)、Prime Video視聴者の毎月のAmazon.co.jpでの購入率93%(同社内部データ、2023年8月-2024年8月調べ)という主力広告サービスで、日本では今年4月よりサービスを開始した。

今回、同社はサービスを拡充するべく「インタラクティブ動画広告」「インタラクティブポーズ広告」「FITO(First Impression Takeover)」の3つの新フォーマットをリリースした。

  • 3つの新広告フォーマットを発表する Vice President Global Prime Video Advertising Jeremy Helfand (ジェレミー・フェルファンド)さん

    3つの新広告フォーマットを発表する Vice President Global Prime Video Advertising Jeremy Helfand (ジェレミー・フェルファンド)さん

3つの新サービス発表にあたって、イベント前にメディア向けに説明会が開催。日本のAmazon Adsの動画広告のGTM(Go-to-Market)戦略を統括している高村幸恵さんが新サービスの詳細を紹介した。同社は広告サービスにおいていかに顧客の邪魔をせずに自然な形で広告と顧客を結びつけるかを重視しており、その考えに基づき開発されたのが3つのフォーマットだという。

  • Amazon Ads Principal Video Strategy & GTM, JP 高村幸恵さん

    Amazon Ads Principal Video Strategy & GTM, JP 高村幸恵さん

動画再生時のファーストインプレッションを独占できる「FITO」

1つ目の「FITO」はファーストインプレッションに着目したフォーマット。視聴者がPrime Videoで動画を再生する際に最初に表示されるプリロール広告(動画コンテンツ再生前に自動的に流れる動画広告)枠を独占できる。

人間は第一印象が高いほど評価も高まるといわれるが、最も印象に残りやすい最初の動画広告を独占して配信できることで幅広いリーチの獲得が期待できる。特定の日時や番組を指定することも可能で、新商品や大きなキャンペーンなどを強力にプッシュしたいときに役に立つという。フォーマットは現在、2025年内にβ版のリリースを目指している。

  • FITO(ファースト インプレッション テイクオーバー)

    FITO(ファースト インプレッション テイクオーバー)

動画サイドにポップアップを表示、クリックさせる「インタラクティブ動画広告」

2つ目の新サービスが「インタラクティブ動画広告」だ。これは動画の左側にバッジと呼ばれるポップアップを表示させ、表示したクリエイティブをリモコンで操作して選択できるようにするもの。顧客に能動的なワンアクションを促すことで、エンゲージメントを上げる効果があるという。また、ブランドや商品の詳細ページへのリンク、スマートフォン用QRコードなどと組み合わせ、クリエイティブを工夫することでアクションシグナルの効果分析に活用することもできる。

  • インタラクティブ動画広告は左側にバッジと呼ばれるポップアップを表示でき、リモコンなどで操作可能

    インタラクティブ動画広告は左側にバッジと呼ばれるポップアップを表示でき、リモコンなどで操作可能

商品を購入する際は、改めてカート内の確認などもう一手間必要となるが、「認知から購入までの距離がかなり縮まる」と高村さんは語った。フォーマット提供は、2026年上半期を予定している。

ポーズボタンを押したときに表示される「インタラクティブポーズ広告」

動画を視聴していれば、休憩や気に入ったシーン、急な用事などが発生したとき一時停止ボタンを押すことは多い。そういうときに画面上に半透明の広告を表示し、再生するまで表示されるのが「インタラクティブポーズ広告」だ。

同サービスもインタラクティブ広告と同じくリモコンで操作可能で、複数製品を並べて矢印マークなどで画像を切り替えることができるカルーセルなども利用できる。2026年上半期に提供予定となっている。

  • 「インタラクティブポーズ広告」

    「インタラクティブポーズ広告」

「インタラクティブ動画広告」および「インタラクティブポーズ広告」はPrime Video広告やAmazonで販売を行っていない広告主でも利用可能で、イベント予約や登録、申し込みなども表示できる。

  • 「インタラクティブポーズ広告」の利用イメージ

    「インタラクティブポーズ広告」の利用イメージ

先行する米国で「インタラクティブ広告」が好調、日本でも大きな期待が

「インタラクティブ動画広告」と「インタラクティブポーズ広告」は、2024年の米国のUpfrontで正式発表され、既に米国で提供が開始されている。

Kantar社が2024年に行った調査によれば、インタラクティブ性のない広告と比較して、認知は30%増、購入意向は28%増といずれも大きくアップしている。また、Amazon社内データによれば、カートへの追加アクションが6.3倍と非常に大きな効果が得られていることがわかっている。注文も2.5倍と好成績を挙げているという。

全体的に見ても効果が如実に出ており、日本においてもその効果に大きな期待が持たれる。

Amazon Adsにおいてフルファネル戦略とは

説明会では、Amazon Ads ジャパン カントリーマネージャー 石井哲氏が、Amazon adsの広告戦略を紹介した。

  • アマゾンジャパン合同会社 Amazon Ads ジャパン カントリーマネージャー 石井哲さん

    アマゾンジャパン合同会社 Amazon Ads ジャパン カントリーマネージャー 石井哲さん

石井さんは、Amazon Adsの広告戦略においてフルファネル戦略を強力に推し進めていくことを強調した。フルファネル(Full funnel)戦略とは、認知、検討、購買、リピーターへという客の購入までのプロセス全体を俯瞰し、それぞれのプロセスで最適なアプローチを行うマーケティング戦略。

同社はPrime VideoやAlexa、Amazon Music、Amazon Live、Amazon.co.jpなど多数のサービスを提供しているだけでなく、展開する広告サービスなどもディスプレイ広告、動画広告、ライブ配信やスポンサーTV広告、Twitch広告、Amazon DSP、スポンサーブランド広告まで多岐に渡る。加えて、広告主のブランド認知から商品購買までつなげていく同社の蓄積したシグナルを活用したデータクリーンルームAMC(Amazon Marketing Cloud)や最新のAI技術を持つ。

中でも動画配信サービスは、利用率が年々延びておりサイバーエージェントの調査によれば、動画広告市場の推計・予測はスマートフォンで2023年に5,048億円、2024年に5,750億円、2025年は6,566億円と順調に延びており、2026年には7,320億円になると推定されている。また、同様にコネクティッドTVも順調に増加している。

これらの動画広告市場においてさらに他社をリードし、より緻密なフルファネルを実現するため開発した広告フォーマットが、今回の「FITO」と「インタラクティブ広告」、「インタラクティブポーズ広告」なのだ。