
AIとロボットの結び役に
─ 近年、AI(人工知能)に注力するGMOインターネットグループですが、改めて、なぜ今、AIなのか。そこから聞かせてください。
熊谷 当社は米マイクロソフトの「Windows95」が発売された1995年からインターネット事業に取り組んできました。過去の産業革命は、平均すると55年周期で進展してきたわけですが、そう考えると、現在のインターネット革命もちょうど折り返し点に来たところなんですね。
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わたしは、その折り返しの主役は間違いなく、AIだと考えています。AIというのは人間の頭脳にあたるものですから、オフィスの生産性を劇的にプラスにします。そして、それをフィジカルに、世の中に実装するために必要になってくるのがロボティクスです。ですから、AIとロボティクスが主役であることは間違いなくて、世の中をフィジカルに変えていくのはAIを搭載したロボットです。
そう考えて昨年6月に設立したのが、AIとロボットの導入・活用支援を行う総合商社「GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)」です。
─ 商社ですか。
熊谷 はい。AIとロボティクスは相思相愛で、GMOはその結び役になると。われわれはAIをつくるわけでも、ロボットをつくるわけでもありませんが、世界中のAIやロボットの情報を集めて、どんどん紹介していく。2つの結び役になっていくということです。
─ つまり、GMOはつなぎ役、コーディネーターだということですね。
熊谷 おっしゃる通りです。
AI自体は十数年前からありましたけど、環境が飛躍的に変わったのは、2022年11月に米オープンAIが生成AI「ChatGPT」を公開してからなんですね。対話型でAIが身近に使えるようになり、今まで計算と記憶だけできたコンピューターが予測ができるようになったのです。やはり、人間同様、未来の予測ができるようになったことは非常に大きい。
わたしは30年前にインターネットが社会の主役になると感じたわけですが、今度はAIとロボティクスが後半戦の主役になると確信しています。
─ そうなると、AIと人間の関係はどう考えていけばいいですか。
熊谷 人間というのは、いろいろなことを予測し、想像し、発明をしていきます。全世界80億人の中には、ノーベル賞級の発明をする方も何人かいらっしゃいます。ただ、そうした天才でもノーベル賞を受賞するのは大抵一度ですよね。中には複数回受賞した人も数人いらっしゃいますが、ノーベル賞級のAIができたら、電気だけ食わせておけば、毎日ノーベル賞級の発明が起こるということです。
しかも、そのAIをコピーすれば、10個を同時に走らせたり、100個同時に走らせたりすることができる。つまり、毎日100個くらい、ノーベル賞級の発明ができるようになるわけで、もはや、AIは人間ではかなわないレベルに達していきます。
そういう意味では、もう全く人間の歯の立たないレベルまで行ってしまう。つまり、今は人類史上最大級の産業革命が進行していて、しかも、その破壊力は従来とは全然違っている。人類史上最大級の産業革命が進行しているということに気づかなければダメなのです。
─ それくらいの衝撃があると。
熊谷 そうです。例えば、日本は少子高齢化で労働力がどんどん減少していますよね。このままいくと、20年後、30年後の日本は工事現場が放置されたまま工事が進まないとか、パトカーを呼んでも全然警察官が来てくれないとか、そういう事態が起こりえます。それをカバーできるのはロボティクスです。
今までもロボットはありましたが、これまでのロボットは人間がプログラムしたことしかできませんでした。例えば、荷物を運ぶロボットがありますけど、予期せぬ荷崩れがあったら、ロボットは止まってしまいます。ところが、これからはAIを搭載したロボットであれば、自分で考えて荷崩れのあった場所を避けて荷物を運んでいくことができるようになるわけです。
わたしが先ほどから、AIとロボットが相思相愛と言っているのはそういう意味でして、これからAIとロボットは相思相愛で世の中をフィジカルに変えていくだろうと考えています。