ファインディは7月1日、ソフトウェア開発における「開発生産性」に関する実態調査の結果を公開した。

同調査の対象はソフトウェア開発(組み込み開発を含む)に直接関わるエンジニア、プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャー、開発責任者など。有効回答数は798名。

開発生産性への取り組み状況

開発生産性に対する印象を聞いたところ、最も多かった回答は48.1%(384人)の「どちらでもない」だった。以降、「ポジティブ」な印象を持つ人が44.3%(354人)、「ネガティブ」な印象を持つ人は7.6%(61人)と続いた。

「ネガティブ」な反応が極めて少ないことから、開発生産性向上に対する根本的な反対や抵抗感は少ないとして、同社は、適切なアプローチにより中立層をポジティブ層に転換できる可能性があるとの見方を示している。

また、開発生産性への取り組み状況については、36.6%が「取り組んでいる」と回答。一方、37.8%が「取り組んでいない」、25.6%が「わからない」と回答し、自組織の取り組み状況を把握していない人が4分の1を超えることが明らかになった。

「開発生産性」の定義を聞いたところ、、「チームで効率よく働く」(50.6%)と「無駄な作業を減らす」(47.5%)が上位を占めた。これより、同社はIT従事者が開発生産性を個人のコーディング速度のような個人的な能力としてではなく、チーム全体で協調し、効率的に働くことと捉えていると見ている。また、短期的な業績数値よりも、持続可能なプロセス改善を重視する傾向が見られるという。

  • 開発生産性の定義 引用:ファインディ

開発生産性を阻害する要因としては、53.5%のIT従事者が「要件定義の不明確さ」を最重要課題として指摘し、これに「会議の過剰な頻度」(38.7%)、「組織内コミュニケーションの非効率性」(33.6%)が続いた。つまり、開発生産性における主な課題は技術面ではなく、組織運営に起因することが明らかになった。

  • 開発生産性を下げている要因 引用:ファインディ

利用ツール・開発手法の現状

ソースコード管理ツールについては、利用状況に明確な二極化が見られた。最も多く利用されているのはGitHub(30.5%)だったが、Visual SourceSafe(15.8%)やSubversion(13.7%)といった従来型のツールも依然として利用されている。

この状況について、同社は「単なるツールの選択にとどまらない重要な課題を示唆している」と指摘。GitHub Copilot、Cursor、Devinといった革新的なAI開発支援ツールが急速に普及する中、調査によって、従来型ツールを使用している組織がこれらの最新AI機能を十分に活用できないという技術的な制約を抱えている構造的な問題が明らかになったと分析している。

  • ソースコード管理ツール利用状況 引用:ファインディ

開発フレームワークは、ウォーターフォール開発の利用が36.8%と最も多く、従来型の開発手法が主流となっていることが確認された。また「開発フレームワークはよくわからない」が2番目に多い回答(18.2%、145名)と、純粋なアジャイル手法の合計(16.9&)を上回る結果となった。

この結果について、同社は多くの組織で開発手法の体系化と浸透が進んでいない状況や、日本企業における開発プロセスの選定基準が明確でない現状を反映していると指摘している。

  • 開発フレームワーク利用状況 引用:ファインディ

同調査のすべての結果はこちらで確認できる(登録不要)。