
米価がいよいよ値下がりに転じるのか。農林水産省が公表した5月26日~6月1日のスーパーでのコメ販売価格(税込み)は、5キログラムで前週より37円安い4223円だった。前年同期に比べてなお2倍近い水準だが、2週続けて下落した。
小泉進次郎農水相は、備蓄米の随意契約による販売を新たに始めるなど、コメの供給量拡大に努めている。6月10日の閣議後の記者会見では、米価の見通しについて「3千円台に一日も早くもっていくための施策を投入したい」と強調。「日本経済全体の物価と賃金の好循環を決して腰折れさせてはならない。その原因がコメであるとしたら、そういったことを対処しなければならない」とも述べた。
SMBC日興證券のレポートによると、「仮に政府による備蓄米放出がなければ、今夏に流通在庫が再び枯渇、価格高騰に拍車が掛かる可能性が高かったとみられる」としている。需給逼迫が和らぐことで、コメ価格も「夏に掛けて前月比ベースで下落に転じる局面もありそう」だが、2025年産米が不作に陥った場合は「激しい価格高騰に直面するリスクを抱える」と指摘する。
備蓄米を巡っては、一部の議員による発言が米価の安定につなげようとする議論に水を差す形となっている。
国民民主党の玉木雄一郎代表は5月28日、備蓄米について「1年たったら動物の餌になるようなものだ」として、批判を招いた。立憲民主党の原口一博衆院議員も、翌29日にSNSで「家畜用だろう? 古古古米」などと投稿。党執行部から不適切だとして注意を受けた後も、6月7日に佐賀市で開かれた集会で「古古古米はニワトリさんが一番食べている。人間様、食べてない」などと発言した。
農水省によると、政府備蓄米は有事の際に主食用として供給できるように、保管する倉庫内の温度や湿度を一定に保つなどして品質の維持を図っているという。