
トランプ大統領にイラン戦争の出口はあるのだろうか。連日のように報じられる中、日本はホルムズ海峡を通過するエネルギーに過度に依存していることを改めて感じる。
この問題が長期化し、世界のエネルギー情勢が大きく変化する可能性があるとすれば、日本にとっての影響は極めて深刻である。機雷の敷設などにより実質的に海峡が封鎖され航行不能となる場合、さらにはイランが対岸の産油国の設備を攻撃した場合、日本は数年単位での供給不足という課題を背負うことになる。
多くの専門家が指摘しているように、オイルショック後もホルムズ海峡依存のルートを大きく変更してこなかったのは、単に価格の問題だけでなく、輸送効率や既存インフラ、取引慣行など複合的な理由があるためであり、これを転換することは容易ではない。
しかし、日本は今後起こり得る事態に対して大きな決断を迫られることになるだろう。すでに東南アジアの一部の国では石油不足が顕在化し、フィリピンは国家危機宣言を発して需要抑制策を実施している。こうした状況の中、石油備蓄の多い日本に支援を求める声が高まるのは必然である。
とはいえ、日本もエネルギー輸入国であり、単純に備蓄分や新規調達分を分けることは難しい。人道的観点と国益のバランス、さらには日本企業のサプライチェーン維持といった観点から、慎重な対応が求められる。具体的には、石油の共同調達や、精製能力の低い国々に対して石油製品を輸出するなどの協力策が考えられる。こうした対応を早期に検討することの意義は大きい。
また、代替供給元の確保も重要な課題である。原油には性質の違いがあり、日本の産業構造や精製設備に適合するものを選定する必要がある。中東依存からの脱却は容易ではないが、供給元の多角化は避けて通れない。
国内においても需要抑制策の実施が想定される。石油消費の大半は自動車と産業部門であり、原油価格高騰に対してはガソリン補助などの対策が講じられている。しかし将来的には脱炭素政策との整合性を図り、中長期的に石油依存を低減していく必要がある。同じ問題を繰り返さないためにも、短期対策と中長期戦略の接続が不可欠である。
日本は資源に乏しい国であり、エネルギーは海外から調達せざるを得ない。そのコストは最終的に国民が負担することになる。仮に停戦に至ったとしても、ホルムズ海峡の安全確保に向けて日本がどのように関与・貢献するのかという議論は避けられない。エネルギー安全保障を自国の問題として捉え、現実的かつ持続可能な選択肢を社会全体で検討していく必要がある。
政府・企業は情報共有と行動計画で予見性を高め、日本の将来選択が問われることになるだろう。