QPS研究所は、合成開口レーダー(SAR)を備えた小型衛星10号機「ワダツミ-I」が日本時間5月17日に打ち上げられ、衛星分離後にワダツミ-Iとの初交信に成功。翌18日には収納型アンテナの展開にも成功したと発表した。

  • QPS-SAR10号機「ワダツミ-I」のアンテナ展開成功の様子。左が展開前で、右が展開後

ワダツミ-Iは、ロケット・ラボのElectronロケット(ミッションネーム:“The Sea God Sees”)によって、ニュージーランド・マヒア半島の発射場Launch Complex 1から日本時間5月17日17時17分に打ち上げられた。打ち上げ約50分後に衛星分離に成功し、分離から約30分後には初交信にも成功。衛星の各機器が正常に作動し状態に問題がないことを確認している。

  • Electron “The Sea God Sees”ミッション
    (Credit: Rocket Lab)

翌18日夕方には収納型アンテナの展開を実行。その後、機器の動作情報やジャイロなどのセンサー類、アンテナの一部を撮影した衛星のセルフィー画像などから、アンテナの無事の展開を確認できたとしている。今後は衛星の調整を続け、初画像の取得(ファーストライト)をめざす。なお同衛星の収納型アンテナは、性能向上のための改良を施しており、セルフィー画像撮影のためのカメラにはより広視野角のレンズを使ったという。

QPS研究所の大西俊輔社長 CEOは打ち上げミッションの成功を受け、「前回の9号機『スサノオ-I』からわずか2カ月ほどで10機目となる『ワダツミ-I』を軌道投入できたことは大変嬉しい」とコメントしている。QPS研究所は今後、合計36機による衛星コンステレーション構築をめざしており、次の11号機の打上げは2025年6月以降を予定しているとのこと。

  • ワダツミ-Iとの初交信時の管制室の様子