丸紅とソラコムは5月12日、IoT領域における戦略的協業の一環として、丸紅グループの丸紅I-DIGIOホールディングスとソラコムの合弁会社を設立することで合意したことを発表した。
同日、丸紅とソラコム、丸紅I-DIGIOホールディングスの3社は、通信事業に関する取り組みのメディア説明会を開催した。説明会には、ソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏、丸紅の執行役員 情報ソリューション部門 部門長 藤永崇志氏、丸紅I-DIGIOホールディングス 代表取締役社長 佐藤由浩氏が登壇。「ソラコムと丸紅の戦略的協業について」と「丸紅I-DIGIOホールディングとソラコムの新会社設立」について説明が行われた。
事業開始は8月の予定
今回発表された新会社は、丸紅I-DIGIOホールディングのMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)事業を分社化し、そこにソラコムが51%出資することで、合弁会社として事業を開始するもの。8月の事業開始を目指してこれから準備を進めていくという。
最初に登壇した丸紅I-DIGIOホールディングスの佐藤氏は、丸紅I-DIGIOホールディングスとしての新会社設立の背景と意義として、「ビジネスIT領域への事業拡大」「IT基盤サービスセグメントにおけるモバイル事業拡大」「システムの共有や帯域の共有による効率化」という3つの内容を挙げた。
「大きく拡大が見込まれるIoT領域で、ソラコムの持つIoTプラットフォームの活用や、同社からの技術支援により、丸紅I-DIGIOグループのビジネスIT領域での事業拡大に貢献していく所存です」(佐藤氏)
「IT基盤サービスセグメントにおけるモバイル事業拡大」においては、テレワークの普及など、執務様式の変化が進み、企業のITネットワーク基盤においてモバイル回線の活用がより進む中で、国内複数キャリアの通信プロファイルをインストールした回線の提供による冗長性・安全性の訴求が可能となるという。
さらに「システムの共有や帯域の共有による効率化」においては、ソラコムの持つ各種システムや仕組みの利活用や、丸紅I-DIGIO(丸紅ネットワークソリューションズ)の帯域に余剰が生じる場合の有効活用により、ソラコム・新会社を含めた全体での最適化を図っていく。
新会社が展開するサービスの概要
新会社は、ソラコムのソフトウェア、クラウドの技術を生かし、MVNO事業のインフラ設備やサービスを進化させていく。
まず、回線管理コンソールの刷新を通じて、ユーザーの操作性向上を図るほか、次世代SIMであるiSIMなどの最新のSIMテクノロジーへの対応、モバイルワーカー向けにネットワークとセキュリティ機能を一体で提供するSASE(Secure Access Service Edge)への応用も検討する方針。
将来的には1つのSIMで複数の国内キャリアのプロファイルが使える「マルチキャリアプロファイル」の実現も視野に入れているという。
また、新会社のサービスを起点として、丸紅グループのDXコンサルティングやデータ分析とも連携することで、多様化する業界・地域のニーズ応えるIoT・DXソリューションを提供する。
丸紅とソラコムは、2025年2月に海外市場におけるIoT分野での協業に向けた合意書も締結しており、海外におけるモビリティ、農業、電力・水道などのインフラ領域での事業展開について検討を進めているという。
ソラコムと×丸紅の戦略的協業
続いて、ソラコムと丸紅の戦略的協業についての説明も行われた。協業は「データ活用時代のインフラとも言えるIoT分野において、国内市場・海外市場における戦略的パートナシップを強化する」ことを目的に実施されたという。
両社はネットワーク・ITサービス事業、コンサルティング事業を手掛ける丸紅の事業資産と国内外のビジネスネットワーク、IoTプラットフォーム事業を展開するソラコムのクラウド・モバイルの技術力、多岐にわたる業界の顧客層を掛け合わせることで、新たなシナジーを生むことを狙う。
丸紅の国内外の事業資産である「鉱業・自動車・物流・電力・水道・農業」において、ソラコムのコンサルティング・データ分析のノウハウを活用することで、両者はあらゆる産業のデジタル変革を加速し持続可能でスマートな社会基盤の実現を目指す。
協業においては「IoTコンサルティング」「海外IoTビジネス」を進める。
「IoTコンサルティング」では、ドルビックスコンサルティングとソラコムでIoT領域での協業検討を開始。IoTに関わるコンサルティングニーズに対し共同でアプローチすることでさまざまなインダストリーへの展開を狙う。
また「海外IoTビジネス」では、丸紅・丸紅I-DIGIOホールディングスとソラコムでIoTビジネスの海外展開に関する検討を開始。コネクティビティからソリューションまでワンストップでの提供を目指す。