東京メトロは3月27日、電車がブレーキをかけたときに発生する回生電力の有効活用に向けて、2025年度から変電所電圧の適正化の取り組みを全線展開すること、ならびに使い切れない回生電力を駅施設などの電力に変換する駅補助電源装置の制御方式の変更などを行うことを発表した。
これまで電車がブレーキをかけた際に発生していた運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電されていた回生電力は、付近を走行する電車に供給され、電車の使用エネルギーの削減に活用されていたが、付近を走行する電車がいない場合、生み出された回生電力の行き場がなかったという。
今回の変電所電圧の適正化は、電車が走行に使用する電圧(き電電圧)を下げることで、き電電圧が上昇して一定の電圧まで達した場合、車両設備の故障を防ぐことを目的に回生電力の発電量を抑制する回生絞り込みが発生しにくい状況を作ることができる一方で、電車線電圧が一定の電圧よりも降下すると列車の加速性能が低下し、運行ダイヤへの影響が懸念されるといった課題を、変電所・車両が保有するビッグデータを分析・見える化した結果、もっとも回生効率が高いき電電圧を特定することに成功した取り組みを踏まえたもの。