新入社員のオンボーディングにも使えるkintone
4月になって新入社員が入社した後も、kintoneはさまざまな場面にを活用できる。例えば、入社後は新入社員が職場に慣れてもらうオンボーディング期間となる。
このオンボーディングに効果的なのが、新入社員向けの「スペース」をkintone内に用意してあげること。こういったスペースを用意しておくと、スレッド(掲示板)で疑問点を互いに解消する、交流を深めるためのアプリを作成する、といった施策を行えるようになる。
kintone活用のお役立ち情報を届ける「kintone MAGAZINE」のvol.28にも、その具体的な例が紹介されている。
「お宝資料Bankアプリ」は先輩社員が作成した資料を閲覧できる。2023年に新卒入社した山本菜月さんは「全文検索でファイルの中身まで検索できるので、ピンポイントで欲しい資料を見つけることができました」とコメントしている。
また、「自己紹介アプリ」は新入社員同士や先輩社員とのコミュニケーションを活性化させることに役立つ。2023年に新卒入社した藤井允さんは、「自分の経歴や出身地、好きなことを入力したところ、全社通知されてコメントがたくさん来ました」とコメントしている。これら「kintone MAGAZINE」で紹介されているアプリは、実際にサイボウズで運用され好評を博したアプリの実例だ。
また、「kintoneの使い方に慣れてもらうこと」も目的の一つといえる。SNSなどのデジタル・コミュニケーションには慣れていても、kintoneの使用経験がある方は皆無に近いはず。そういった方々に「いきなり業務で使っているアプリを操作させるのは少し怖い……」と考える職場もあるだろう。
だから「kintoneの使い方を十分に研修してから……」というステップアップ方法もあるが、それよりも実際にkintoneを使ってもらった方が近道かもしれない。
例えば、会社の近所にある「飲食店の情報」を自由に登録できるアプリを作ってみるのも一つの案だ。「食べること」は多くの人が興味を持つ分野であり、また気楽に情報を交換・発信できることも導入しやすいポイントになるだろう。
このアプリに実際にデータを登録していくと、以下の図のような感じになる。店舗の基本情報は「最初にレコードを作成した人」が入力し、その後「同じ店舗を訪れた人」がテーブル部分にメニュー情報を追加していく、という形になっている。「添付ファイル」のフィールドを配置することで、店舗や料理の写真も掲載できるようになっている。
このようなアプリを用意しておき、新入社員の方に積極的に情報を登録してもらえば、自然とkintoneの使い方を覚えられるはずだ。
こうしたアプリの利点は、万が一、データが削除されてしまっても本業に影響しないこと。このため、新入社員の方でも安心してアプリに触れることができる。なんなら、アプリ管理者権限まで与えてしまって、より便利なアプリになるように自由に改良してもらってもよい。こうすることで、よりkintoneへの理解が深まるはずだ。
そのほか、先輩社員も参加しながら、コミュニケーションツールの一つとして活用する方法も考えられる。「食べること」に関しては、先輩社員だって興味があるはず。だから、どんな情報が登録されているか気になる方も沢山いるだろう。新入社員の皆さんに「使えるお店を教えてあげたい」と思う人も少なくないはずだ。
人事部と新入社員で情報を共有するアプリ
人事部から新入社員へ伝達事項を連絡するときにも、kintoneが大いに活用できる。「研修期間中のスケジュール」や「準備しておくべきこと」などを逐次、アプリに登録していけば、そのつど連絡する手間を省けるし、自宅からでも今後の予定を確認できるようになる。
先ほど紹介した「kintone MAGAZINE」のvol.28にも、オンボーディングのプラットフォームとしてkintoneを活用する例が紹介されている。
そのほか、研修への参加をあえて登録制(予約制)にしてkintoneに慣れさせる、という方法もある。以下は、4月15日に実施される研修について、各自が「どの研修に参加したいか?」を選択してもらうアプリの例だ。
ExcelやPowerPointの講座を受けたい人、営業部の定例会議、新商品の企画会議を見学したい人、もしくは先輩社員の営業に同行したい人、といった具合に研修内容を各自で選択して登録できるようにしてある。
このように、個々の回答(選択)を求める作業にもkintoneが活用できる。いちいちメールを返信してもらって、その回答結果をExcelにまとめなおす、といった処理手順にするよりも効率よく作業を進められるはずだ。
この場合、アプリを利用する期間は数日間になってしまうが、それでも「アプリを作成する意味はある」と考えられる。kintoneに慣れている方なら、この程度のアプリは5~10分程度で作成できてしまうだろう。その後、無事に研修が終了したら、アプリを削除してしまってもかまわない。こうした極めて短期間のタスクにも、kintoneは有効活用できる。
ということで、今回は「新入社員の受け入れ」に的を絞ってkintoneの効果的な使い方を紹介してみた。kintoneは会社の基幹となる業務にのみ使用するツールではなく、もっと枝葉的な、もしくは短期間で終了するタスクにも活用できるツールである。日頃から「この作業をkintoneで進めたら、どうなるだろうか?」と考える習慣をつけておけば、kintoneの魅力をもっと引き出せるようになるはずだ。この機会にいちど、挑戦してみるとよいだろう。