TISインテックグループのTISは3月5日、共栄産業に「生成AIプラットフォーム」を導入し、見積書作成業務の効率化を支援したことを発表した。共栄産業は導入後も対応実績をナレッジとして同サービスに蓄積し、生成AIの回答精度を向上。見積書作成業務の効率化と問い合わせ対応の属人化の解消につながったという。

  • 見積作成支援業務のイメージ

    見積作成支援業務のイメージ

TISの生成AIプラットフォーム

TISが提供する生成AIプラットフォームは社内のナレッジ検索機能を標準搭載し、自社環境にカスタマイズして構築する個別開発型と、すぐに利用を開始できるSaaS型で展開する。共栄産業は個別開発型の生成AIプラットフォームを導入し、2024年3月から10月にかけて開発。2024年11月に正式運用を開始した。

共栄産業は、個別のニーズに応じてオーダーメイドでシステムの構築や改善が可能であった点、運用開始後もナレッジを蓄積して問い合わせ対応や見積書作成の精度向上の可能性があった点、1対1のチャット利用だけでなく複数名でのチャット利用により社内での情報共有ができる点、社内のナレッジを蓄積して生成AIが回答することで情報を半自動的に育てられる点、データの中から独自情報を醸成できる可能性がある点などから、生成AIプラットフォームを導入したという。

導入プロジェクトの概要

共栄産業への生成AIプラットフォーム導入プロジェクトでは、問い合わせのタイムリーなやり取りと見積書作成業務の効率化を目指したという。生成AIプラットフォームを基盤に共栄産業独自のインターフェースを開発するなど、単なるサービスパッケージの導入にとどまらず、個別のニーズに対応したカスタマイズを実施しユーザビリティを高度化させた独自のコミュニケーションシステムの構築を実現。

従来のチャットボット導入では、過去の実績やデータをAIに学習させ、回答作成に活用する方式が一般的とされる。中小企業においては、この労力が導入だけでなく運用開始後にも大きな課題となる。

そこで今回のプロジェクトでは過去データを利用せず、システム構築の過程でAIに学習させる行為を日常業務と融合させ、データを半自動で学習させる仕組みを構築した。これにより、学習させる労力を最小限にしつつ常に最新の状態に保てるようになったという。

また、正式導入後も随時見積データなどのナレッジを蓄積し、回答精度の向上が図れるようになった。また、海外拠点を含めた複数部門でのコミュニケーションを円滑にするツールとしても機能しているとのことだ。