ここ数週間、テック業界を賑わしている中国発のAIモデル「DeepSeek」について、「ChatGPT」で生成AIブームを引き起こしたOpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)氏はどう思っているのか--。

これまでとは異なるオープンソース戦略を見出す必要がある - アルトマン氏

アルトマン氏は太平洋標準時間1月31日の午後2時から1時間、「OpenAI o3-mini、そしてAIの将来について話す」として、RedditのAMA(AskMeAnything)に登場した。

回答者はアルトマン氏のほか、OpenAI CRO(Chief Research Officer:最高リサーチ責任者)のMark Chen氏、同CPO(Chief Product Officer:最高プロダクト責任者)のKevin Weil氏など、総勢6人。

質問は多岐にわたっているが、いくつか見てみよう。まずはDeepSeekからだ。「DeepSeekは良いモデルであり、他のLLM(大規模言語モデル)の出力でトレーニングされたものだと思われる。DeepSeekにより、今後の(OpenAIの)モデル開発はどのように変わる?」という質問に対して、アルトマン氏は「とても良いモデル!われわれはさらに良いモデルを作成するが、ここ数年のようなリードを(われわれが)保つことはなくなるだろう」と続けている。

DeepSeekは、オープンソースとして公開されたが「モデルの重みや研究を公開することを検討しているか?」という質問に対して、同氏は「(それについて)議論している」と述べている。個人的な意見として「歴史の間違った側に立ってしまった」と吐露している。

OpenAIはプロプライエタリだが「これまでとは異なるオープンソース戦略を見出す必要があると考えている」とアルトマン氏。一方で、OpenAI内部での見解が分かれていること、最優先事項ではないことも明かしている。

NVIDIAのGPUを高評価

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の面前でソフトバンクとOracle(オラクル)とともに発表したプロジェクト「Stargate Project」について「その成功はOpenAIプロジェクトにどのぐらい重要か?」という質問に関してWeil氏は「とても重要だ。これまで計算資源を増強すればより優れたモデルを構築でき、価値のある製品を作成できる」と述べている。

OpenAIでは事前学習、強化学習と“strawberry”(真意は不明だが、strawberryはOpenAI o1のコードネームとされている)の2つの方向性でモデルを拡大しており、2つとも大量の計算リソースを必要とすると説明している。

さらに「よりエージェント的な製品にシフトすると、それも計算リソースが必要」とし、Stargateは「電力/GPUをユーザーにとって素晴らしいものに変えるOpenAIのファクトリーのようなもの」と形容した。

なお、TrilliumやCerebrasなどの専用AIチップをどう思うかという問いについては、「今のところGB200が最強!」とアルトマン氏はNVIDIAのGPUに高評価を下している。

このほか、次期モデルのo3のリリースについて「数週間以上、数カ月以内」(アルトマン氏)、ChatGPT-5の登場について「o-17microとGPT-(π+1)のすぐ後」(Weil氏)、DALL-E3の後継に関しては「取り組んでいる」(Weil氏)など、製品のリリースにも触れた。

先日、発表したOperatorについて、通常のPlusプランで使えるようになるのはいつか?という問いについては「未定だが、できるだけ早く提供したい。Operatorをより高速かつ低コストで動作させる専門のモデルを訓練中」とWeil氏。

Plusを値上げする予定については「実際のところ、時間とともに値下げしたい」とアルトマン氏は答えている。1月に明らかになったロボティクス部門の目標は何かという質問も。同氏は「少量生産で高品質なロボットをまずは生産し、そこから学ぶ」と回答している。

AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)に備える投資を聞かれたアルトマン氏は「最も重要なのは自分自身の内面を鍛えること。回復力、適応力、冷静さ、幸福感など」と回答している。プライベートについても答えている。同氏は一番思い出に残っているバケーションを聞かれ「東南アジアのバックパック旅行とアフリカのサファリ」と書いている。