全日空商事は、ニュージーランド発のスタートアップ企業・Zenno Astronauticsと、日本展開に向けた基本合意書を締結したと1月24日に発表。国内初展開となる、Zennoが開発した人工衛星用の姿勢制御装置「超伝導磁気トルカ」を衛星事業者向けに販売する。東京ビッグサイトで開催される「2025国際宇宙産業展ISIEX」(会期:1月29日~31日)にも出展予定。
Zennoは宇宙業界で初めて、超伝導磁気技術の活用を進めているというスタートアップ企業。リニアモーターカーなどで既に実用化されている超伝導磁気技術だが、これを基盤として放射線シールドやドッキングシステム、さらにはスペーストンネルまで、多岐にわたる革新的なソリューションの研究開発を推進。2024年にANAホールディングスとグローバル・ブレインが共同設立した「ANA未来創造ファンド」からも出資している。
具体的なプロダクトとして、超伝導磁気技術を人工衛星の姿勢制御に活かす「超伝導磁気トルカ」(Z01)を製品化。従来の電磁石方式を大幅に凌駕する高性能化を追求したという。また、宇宙ステーションへの転用を視野にいれ、姿勢制御だけでなく宇宙放射線のリスクを低減する磁気シールドの開発も行っている。
全日空商事では、Zennoが保有する技術の市場競争力や、多様なプロダクトへ転用できる拡張性を評価し、今回の合意に基づいてZennoの製品を日本市場に展開。衛星事業者向けに、超伝導磁気トルカの営業・マーケティング活動を行い、販売していく。
将来的には宇宙ステーション向け超伝導磁気技術にも取り組み、「これまで航空産業で培ってきたサプライチェーンの知見を組み合わせることで、日本の宇宙産業の競争力を高められる新しい可能性を切り拓く」とのこと。