デル・テクノロジーズ(以下、デル)は10月3日、年次イベント「Dell Technologies Forum 2024 - Japan」を東京都内のホテルで開催した。日本法人の代表取締役社長である大塚俊彦氏が基調講演に登場し、生成AIを活用したビジネス変革について調査結果を引用しながら、3つのテーマで話を繰り広げた。

  • デル・テクノロジーズ 代表取締役社長 大塚俊彦氏

    デル・テクノロジーズ 代表取締役社長 大塚俊彦氏

AIはビジネスチャンスであり、イノベーションを加速する

大塚氏はまず、デルが実施したグローバル調査の結果を示し、AI活用の現状を紹介した。この調査で、「AIと生成AIが業界を大きく変革する」と回答した人の割合はグローバルで81%、日本では70%だった。AIおよび生成AIへの高い期待が見て取れる。

しかしその一方で、「生成AIの変化のスピードに追い付くことに苦労している」と回答した人はグローバルで57%、日本では65%だ。半数以上の人が、日進月歩で変化する生成AIを取り巻く環境に課題を感じているという。

また、生成AI導入の現状について調査すると、グローバルの57%、日本の66%の組織が「生成AIの導入の初期段階から中期段階にある」と回答。現在は多くの組織が、PoC(Proof of Concept:概念実証)を含めたユースケースの創出と実装への移行フェーズにあるとのことだ。

  • 生成AIへの期待はグローバル全体で高まっている(資料:デル)

    生成AIへの期待はグローバル全体で高まっている(資料:デル・テクノロジーズ)

People-Firstアプローチ

People-Firstアプローチとは、AIによって人の生産性を高め、人にしかできない仕事によりフォーカスできるよう変革するアプローチのこと。同社の調査結果によると、「AIの利用で飛躍的な生産性向上が実現できる」と回答した人は、グローバルで79%、日本で62%だ。

そのような変革の時代において、People-Firstアプローチのために重要なスキルとして、大塚氏は3つ挙げた。まずは「新たな学びへの意欲」。言わずもがな、AI領域はテクノロジーの変化が早いため、適切に活用するためには学び続けるスキルと意欲が必要だ。

続く2つは「AIの活用力」と「クリエイティブな発想力」である。これは、どのようなビジネス領域にAIを活用すれば高い成果を生み出せるのかを考察する力だ。上述の学ぶスキルにもつながるが、グローバルの規模でどのようなユースケースが生み出されているのかを知り、自身の企業や業務に応用するスキルが求められるという。

  • AI活用に重要な3つのスキル

    AI活用に重要な3つのスキル

データはAI効果を最大化する差別化要因

AI活用において、データはしばしば「燃料」に例えられる。AIがもたらす価値を最大化するためにはデータが必要であり、差別化のための要因となる。大塚氏は改めて同社の調査結果を紹介。それによると、「データは差別化要因であり、生成AI戦略にはデータの使用と保護を含める必要がある」ことにグローバルの82%、日本の67%の人が同意している。

しかしその一方で、データをリアルタイムのインサイトとして活用できている組織はグローバルで33%、日本では28%にとどまる。これに対し大塚氏は、「データの約8割はオンプレミスまたはエッジで生まれる」と指摘。さらに続けて「データのある場所にAIを持っていく『Bring AI to data』戦略が最もAIを活用できるはず」だと紹介していた。デルはデータが生まれる場所でのAI活用を支援するとのことだ。

  • デル・テクノロジーズ 代表取締役社長 大塚俊彦氏