Synspectiveは6月18日、Rocket Labが提供するロケット「Electron(エレクトロン)」で、今後10機の人工衛星打ち上げを行うことに合意したと発表。これに際し両社は、東京都内にて調印式を行った。

  • 調印式の様子

    調印式の様子(出所:Synspective)

Synspectiveは、小型SAR(合成開口レーダ)衛星の開発・運用に加え、SARデータの販売と解析ソリューションの提供を行う宇宙スタートアップで、2022年には商用化に向けた実証機として「StriX-1」の打ち上げを実施。また2024年3月には、後継機となる「StriX-3」の打ち上げを行い、SAR画像の取得に成功している。

一方のRocket Labは、2006年の設立以来、信頼性の高いロケット打ち上げサービスなどを提供しており、同社が設計・製造を行う小型軌道ロケットのElectronは、米国において年間2番目に打ち上げ回数が多いロケットとして、民間および公的機関向けに180機以上の衛星を軌道へと送っている。

なおRocket Labは2020年以来、Synspectiveの小型SAR衛星によるStriXコンステレーション構築に向けた打ち上げプロバイダとして、Electronによる過去4回すべての打ち上げ・軌道投入に成功している実績を持つ。また、今回の合意の対象打ち上げは2025年から2027年にかけて行われるもの。両社の間ではそのほかに2回の打ち上げを予定しているといい、ニュージーランドの射場「Complex 1」より2024年内に打ち上げを行う計画だとする。

今回の合意に至った理由としてSynspectiveは、過去の実績はもちろんのこと、柔軟な打ち上げスケジュールと各衛星の正確な軌道投入などをコントロールできる点を挙げ、今回の合意によってより迅速な事業の拡大化を図り、世界のパートナーとの関係強化や顧客へのサービス提供の拡充が可能になるとしている。

同社の新井元行 代表取締役CEOは「今後、コンステレーション構築を加速させてサービスを拡充する我々にとって、強固な基盤を得て、自信を深める合意となった」とコメント。またRocket LabのPeter Beck CEOは「衛星10機の打ち上げは、Rocket Labにとって最大規模の打ち上げ合意となる」としたうえで、「日本の宇宙産業は世界で最も急速に成長している産業の1つであり、米国のロケットとニュージーランドの発射場というユニークなコラボレーションを通じてこの成長を実現し、日本の小型衛星に前例のないレベルの軌道アクセスを提供できることを嬉しく思う」と話した。