スペースワンは3月13日、スペースポート紀伊(和歌山県串本町)より「カイロス」ロケット初号機を打ち上げたものの、点火から5秒ほどで爆発、機体は落下し、打ち上げは失敗した。同社は同日14時より、記者会見を開催、豊田正和社長らが出席し、現時点で分かっていることについて説明した。

  • 公式見学場である旧浦神小学校からは、激しく爆発している様子が見えた

    公式見学場である旧浦神小学校からは、激しく爆発している様子が見えた

同ロケットは、高さ約18m、重量約23トンの小型固体ロケット。固体3段+PBS(液体推進系キックステージ)という構成で、国の基幹ロケットである「イプシロン」を一回り小型にしたような印象。実際、同社の設立には、イプシロンなど日本の固体ロケットを牽引してきたIHIエアロスペースが関わっており、技術的には近いと見られる。

会見の冒頭、豊田社長は現状を報告。爆発した破片はすべて敷地内に落下し、発生した火災もすでに鎮火。第3者損害は発生しなかったことを確認し、「安全な飛行中断ができた」とした。今回の失敗を受け、社内に対策本部を設置。今後、データを解析し、原因を究明していくという。

失敗の原因についてだが、まだなにも分かっておらず、阿部耕三執行役員も「現在調査中」と繰り返した。現時点で分かっているのは、ロケットに搭載されている自律飛行安全システムが作動した、ということのみ。このシステムが何らかの異常を検知、各段に搭載されている火工品を作動させ、飛行を中断したと見られる。

自律飛行安全システムは、ロケットに異常が発生したとき、周囲の安全を確保するために搭載されている装置だ。詳細については不明だが、同社の遠藤守取締役によれば、リフトオフ後に、位置と速度、アクチュエータ等の状態、自律飛行安全システム装置の状態などを常に監視しているという。

遠藤取締役によれば、爆発する5秒までの飛行データは取れているとのことで、今後分析を進め、原因を究明することになる。機体は激しく損傷しているだろうが、破片は地上に散らばっており、回収はしやすい。それらを調べることで、分かることもあるだろう。

豊田社長は、「スペースワンとしては、失敗という言葉は使わない」とコメント。「1つ1つの試みの中に新しいデータや経験があり、それはすべて新しい挑戦の糧となる。これは会社としての文化だと考えて欲しい」と述べる。

「ここで諦めること無く、前に向かって進む。年間20~30機の打ち上げを実現することが、皆様に満足してもらう道。出発点に立ったつもりで頑張りたい」と、落胆した様子は一貫して見せなかった。

2023年7月には、「イプシロンS」ロケット第2段モーターの地上燃焼試験において、爆発事故が起きたばかり。ただ、こちらの原因はすでにイグブースタの溶融と特定できており、対策も立てられた。カイロスは地上燃焼試験に成功しており、直接の関係は考えにくいが、事故が連続して発生するのはちょっと気になるところだ。

  • カイロスロケットの打ち上げ
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