物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)は3月24日、「材料系ベンチャー企業のオキサイドとスタートアップ支援に向けた連携覚書きを提携した」と発表した(図1)。

  • NIMSとオキサイドのロゴ

    図1 NIMSとオキサイドのロゴ (出所:NIMS)

結晶材料作製などの研究開発とその製造面・応用面での独自技術を事業化しているオキサイドは、元々はNIMSの研究者だった古川保典社長が2000年10月に、結晶作製法などの研究成果を基にその事業化を図るベンチャー企業として創業した企業だ。そして、同社は2021年4月に東京証券取引所マザーズ市場(当時)に上場、順調に事業を成長させてきた企業だ(2022年4月に市場区分変更に伴い東京証券取引所グロース市場へ移行)(図2)。

  • オキサイドの事業説明

    図2 結晶作製法などの研究成果を基に結晶材料起点の事業化を進めているオキサイドの事業説明図 (出所:オキサイドWebサイト)

結晶作製法などで独自技術を持ち、その利用事業を成長させているオキサイドは2003年9月に東芝セラミックス(現在はクアーズテック)と資本・業務提携したのを皮切りに、2006年6月にニコン、2007年10月にNTTアドバンステクノロジ、2008年12月にはレーザーテックとそれぞれ資本・業務提携するなどを経て成長を続けてきた。この結果、オキサイドは本社がある山梨県北杜市の工場をいくつか増設し、単結晶製造や光デバイス・光モジュール事業などを展開してきた。

国立研究開発法人であるNIMSから誕生した材料系ベンチャー企業であるオキサイドは、以前から古巣のNIMSの研究開発成果・シーズからベンチャー企業を創業させる支援活動も続けてきていた。今回は、これを正式に「連携覚書き」として明文化し、その創業支援などを本格化する構えだ。今後は「NIMSの研究成果の中から事業・企業化シーズを見いだし、助言し、経営ノウハウなどを指導していく」という。具体的にはまずは「情報交流推進のための連携連絡会を設置するなどのベンチャー企業成長策を実践する」という。

今回の覚書締結により、NIMSがあるつくば市には、産業技術総合研究所のつくばセンターや筑波大学などもあることから、つくば市におけるベンチャー企業創業支援環境がさらに整備・拡張される可能性が高まるとも期待されている。