米Informatica(インフォマティカ)は2月16日(現地時間)、企業のデータ戦略の最新動向に関するグローバル調査である「2023年度CDO調査: データ主導型のビジネス強化について」の結果を発表した。

同調査は同社が調査会社を通じ、2022年11月に実施したもの。調査対象は、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、シンガポールを含む11か国における、CDO(最高データ責任者)、CAO(最高分析責任者)、CDAO(最高データ分析責任者)の計600人。

企業のデータ管理への投資計画に関する質問では、世界経済の先行きが極めて不透明な状況下にも関わらず、企業の3分の2(日本の67%、世界全体の68%)が2023年度に投資を拡大すると回答した。

その背景には、多くの企業が膨大なデータを保有しているという現状があるという。日本では86%、世界全体では55%の企業が1000以上のデータソースを扱っているといい、マルチ・クラウドやハイブリッド・クラウドなどの普及に伴いITインフラが複雑化する中、全てのデータ資産を適切に把握し、効果的に活用することが、企業のデータ戦略において最大の課題となっているとのこと。

データ戦略における2023年の最優先事項として、62%の日本企業が顧客や他事業体に関するデータの包括的かつ一元的な管理を挙げた。

今後さらに増加し、断片化し続けるデータを統合管理するためにはMDM(マスター・データ・マネジメント)など、複数のデータソースやプラットフォーム、マルチ・クラウドに存在するデータの一元管理を可能にするツールの導入が重要だと同社は指摘する。

また、次に多くの日本企業(57%)が挙げた優先事項は、効果的なデータの共有・民主化・活用の実現だった。組織横断的にデータを共有し、民主化して効果的に使用するためには、データ・ガバナンスを効かせ、データのプライバシー保護及びセキュリティを担保することが鍵になるという。

データ戦略において、膨大なデータの全てを把握・活用できていないことや、データソースの複雑化といった課題が挙がる中、43%の日本企業がビジネス上の意思決定や業務プロセスにおけるデータ活用の改善がデータ戦略の成功につながると回答した。

世界各国の企業も同様の課題を抱えており、2023年の困難なマクロ経済環境を乗り切るためには、事業戦略とデータ戦略の方向性を合わせると共に、相互効果を実現する必要があるとしている。

2023年にインフレや予算削減の動きが広まる一方で、多くの企業(日本の62%、世界の71%)がクラウドへの投資を増加予定だ。

クラウドやSaaS(Software as a Service)モデルのサービスは、必要に応じてリソースや投資額の調整が可能など、現代のVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)時代に適した柔軟なデータ管理を実現するという。

2023年、VUCAの時代を乗り越えるためには、適切なリソースの割り当てとビジネス目標の優先順位付け、及び柔軟なツールの導入が企業のデータ戦略と全体事業の成功の鍵になると、同社は指摘する。

  • 調査結果の概要 出典: Informatica

今回の調査結果を受けて、インフォマティカ・ジャパンの代表取締役社長である渡邉俊一氏は、「IT人材不足やデータの分散化・複雑化といった課題もある中、限られたリソースを有効に活用できるデータ・マネジメント・ソリューションが求められています。AIやデータ統合プラットフォームを活用しなら、IT部門に限らず企業のすべてのユーザーが効率良くデータの利活用をすることで、データが複雑化していく中でも企業はデータ・ドリブンなデジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現し、2023年以降も明確なビジネス成果を導き出すことができます」と述べている。