SEMIは、50年以上にわたってサンフランシスコおよびその近郊で毎年7月に開催してきた展示会「SEMICON West」の開催時期を2024年から10月に変更するとともに、2025年から当面5年間限定でアリゾナ州フェニックスとサンフランシスコで交互に開催する計画を発表した。

これにより、2024年、2026年、2028年がサンフランシスコ、2025年10月7~9日(予定)、2027年、2029年がフェニックスで開催される予定となる。SEMI傘下のSEMI AmericasプレジデントのJoe Stockunas氏は、「SEMIは、2025年10月に急成長中の半導体製造ハブであるフェニックスでSEMICON Westを開催できることに興奮している。フェニックスおよびその周辺には、SEMIメンバーであるIntel、TSMCを含む75社以上の半導体企業があり、10万人以上が半導体および関連事業に雇用され、さらに多くの雇用が生まれつつある。この地域の半導体チップ製造への最近の巨額投資で明らかなように、フェニックスは、SEMIと業界全体によるより大きなイノベーションへの推進力を体現している」と述べており、2030年以降もフェニックスでの開催が継続する可能性が高いとの見方を示している。

また、「SEMIは、この重要な移動を実現するにあたり、広域フェニックス経済評議会(GPEC)、アリゾナ通商局(ACA)、およびフェニックス市の多大な支援に感謝する」ともしている。

2022年11月にアリゾナ州は、州の競争力を強化するため、米CHIPS法に基づく半導体産業の研究開発に1億ドルを投資すると発表。それを受けてか12月にはTSMCが、フェニックスでのファブ投資を400億ドルに増やす計画を発表している。

TSMCのアリゾナ第2ファブは、2026年までに1万3000人のハイテク雇用を創出し、3nmプロセス半導体を生産することが計画されている。現在2つファブが建設されているが、さらに4つのファブを建設するだけの敷地を有している。Intelも、アリゾナキャンパスにて既存の4つのファブに加えてFab 52とFab 62の2棟を建設中である。

フェニックスおよびその近郊は、地元の半導体企業への人材供給源となっており、アリゾナ州立大学の工学教育プログラムは米国最大級で、マイクロエレクトロニクス関連分野に焦点を当てた7000人を含む3万人以上の学生が在学しているほか、マリコパ・コミュニティ・カレッジは、より多くの技術者をオンラインで教育するためのクイックスタートプログラムに多額の投資を行っている。

紆余曲折の末、米国半導体製造の新たなメッカとなるフェニックスで開催へ

SEMICON Westは最盛期には、サンフランシスコとサンノゼの2会場で開催されたり、サンフランシスコのモスコーニ・センター全館で開催されたりしたことがあったが、当時はそれでも出展希望企業全社を収容しきれなかったため、より巨大な展示場のあるラスベガスなどへの移動なども検討された時期もあった。しかし最近は、出展者数も参加者数も減少し、展示会としての再活性化が検討されていた(米国でのSEMICON展示会は、以前はボストンやオースチンでも毎年開催されていた時期もあった)。

IntelやTSMCの巨大ファブ群が新設中で、周辺には半導体関連会社が海外からも参集してくるなど、今後、米国の半導体製造の中心地になりそうな勢いがあるフェニックスが、そうした検討において、最終的な新たな開催地として選ばれた模様である。