ロジック半導体多層配線工程(BEOL)で従来のデュアルダマシンにかわる「セミダマシン」形成は、相互接続プロセスフローを20nmメタルピッチ以下に拡張するための魅力的でコスト効果の高いアプローチである。

imecは、18nmメタルピッチの2層メタルレベルのセミダマシンモジュールの世界初の実験的デモンストレーションを2022年のIEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits (VLSI 2022) で以下のタイトルで発表した。

「First demonstration of two metal level semi-damascene interconnects with fully self-aligned vias at 18MP'」

この注目論文の著者であるimec BEOL開発チームの主幹研究者であるGayle Murdoch氏と、imecのフェローでナノ・インターコネクトのプログラムディレクターであるZsolt Tokei氏による同技術についての解説を2回に分けてお届けする。タイトなピッチでのビアのセルフアラインメント(自己整合)の重要性を強調し、モジュールの主要な技術的パラメータ (ビアとラインの抵抗、信頼性など)などについてわかりやすく説明している。

バックエンドのロードマップにセミダマシン形成を導入

20年以上にわたり、Cuデュアルダマシンは、信頼性の高いインターコネクト(相互接続)を形成するための主力となるプロセスフローだった。しかし、寸法のスケーリング(比例縮小)が続き、金属ピッチが20nm以下にまで狭まると、BEOL(Back End Of Line:配線工程)におけるRC遅延の深刻度が増してきた。これにより、インターコネクト(相互接続)研究者たちは、狭いメタルピッチでより優れた性能指数を備えた、代替の相互接続スキームと代替のメタル材料を探し始めることを余儀なくされた。

5年ほど前、imecは最初に、1nm(およびそれ以降)のテクノロジーノードの最も重要なローカル(Mx:xには下から何層目かを占める数字が入る)相互接続層を形成するためのCuデュアルダマシンの実行可能な代替手段として「セミダマシン」を提案した。

  • imecのセミダマシンフロー

    図1:imecのセミダマシンフロー。(a)Ruエッチング(下部ローカル相互接続ライン(Mx)の形成)、(b)ギャップフィル、(c)ビアエッチング、(d)ビアへのメタル埋め込みとトップライン(Mx+1)形成 (出所:imec、以下すべて)

デュアルダマシンとは異なり、セミダマシン集積は配線を作成するために相互接続メタルの直接パターニング(サブトラクティブメタライゼーションと呼ばれる)に依存しており、プロセスフローを完了するためにメタルの化学機械研磨(CMP)は必要ない。後続の相互接続層を接続するビアは、シングルダマシン方式でパターン化され、次にメタルで過剰に充填される。つまり層間絶縁膜の誘電体上に金属層が形成されるまで金属の堆積が続く。次に、この金属層をマスキングし、エッチングして、直交ラインを有する第2の相互接続層を形成する。金属のパターニング後、ライン間のギャップを誘電体で埋めるか、局所的にエアギャップを形成する。

セミダマシンフローでは、従来のデュアルダマシンと同様に、2つの層(ビアとトップメタル)が一度に形成されることに注意していただきたい。これにより、デュアルダマシンとベンチマークすると、セミダマシンは効果的にコスト競争力があることが分かった(図2を参照)。

  • 18nmメタルピッチでのCuデュアルダマシン

    図2:18nmメタルピッチでのCuデュアルダマシン(左)とRuセミダマシン(右)のコストの比較

セミダマシン形成フローの利点

セミダマシンは、狭いメタルピッチでCuデュアルダマシンよりもいくつかの利点を約束している。imecフェローであり、imecのプログラムディレクターであるZsolt Tokei 氏は次のように述べている。

「セミダマシンは、まずは、より高いアスペクト比に対応できるので、キャパシタンスの制御が容易でRC遅延防止の点で有利に働く。第2に、メタルに対するCMPステップがないため、形成スキームがより簡素化され、費用対効果が高くなる。最後に、セミダマシン形成には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)などのバリアレスでパターニング可能なメタルが必要であるCuとは異なり、バリアを必要としない金属を使用することにより、貴重な導電領域を相互接続金属自体によって完全に利用することができる。これにより、スケーリングされた寸法で競争力のあるビア抵抗が保証される」。

もちろん、利点に加えて、このようなスキームが業界で受け入れられるようになるまでには、取り組むべき多くの課題がある。その方向への1つ目のステップは、2つのメタルレベルのスキームの実際のデモンストレーションである。これまでのところ、その利点はシミュレーションとモデリングによってのみ示されてきたが、imecは初めて、2メタルレベルのセミダマシンモジュールによる実験的証拠を国際学会で示した。後編となる次回は、セミダマシンの実際のデモの様子について紹介したい。

Gayle Murdoch
Gayle Murdoch
imecの主幹研究員としてBEOL集積プロセスチームを率いている。英University of Edinburghを1997年に卒業。英NEC SemiconductorsやFiltronic Compound Semiconductorsを経て、2008年にimecに入社し、先進リソグラフィチームに属す。2013年以降、BEOLプロセス開発に従事。以降、low-k誘電体集積、完全自己整合ビア、最近ではセミダマシン集積など、さまざまなBEOLのトピックに取り組んでた。現在は、BEOL技術スタッフの中心的存在であり、BEOL集積チームを率いている。
Zsolt Tokei
Zsolt Tokei
imecフェローであり、imecでナノ・インターコネクトのプログラムディレクターを務めている。彼は1999年にimecに入社して以降、さまざまな技術職を歴任してきた。最初は、Cu low-k配線の分野のプロセスエンジニアおよび研究者として、その後、メタル配線部門を率いた。その後、ナノ・インターコネクトのプログラムディレクターに就任。ハンガリー・デブレツェンのコシュート大学で物理学の修士号(1994年)を取得した後、コシュート大学と仏エクスマルセイユIII大学との共同研究の枠組みにて、物理学と材料科学の博士号を1997年に取得。1998年、独デュッセルドルフのマックスプランク研究所にポスドク研究員として勤務。imecに入社後も、スケーリング、メタライゼーション、電気特性評価、モジュール集積、信頼性など、さまざまな相互接続の問題に取り組み続けている。