コロナ禍でテレワークが浸透した後、オフィス勤務もみなさ折れたことで、ハイブリッドワーク(複合的な働き方)を進める企業が増えています。そうした中で、人、デジタルツール、働く環境をどう有機的にコラボレーションさせるかが重要になってきています。

企業がハイブリッドワークを導入する場合、異なる価値観やバックグラウンドを持った社員一人ひとりに、柔軟かつ生産性の高い働き方を提供することが成功につながる要因の一つです。

有意義な人と人とのつながりやコラボレーションの公平性を推進するグローバル コミュニケーション カンパニーであるPolyが、企業の直面する「ハイブリッドワークのジレンマ」についてひも解きます。

前編では、ウェルビーイングの観点から、ハイブリッドワークのジレンマについて説明しましたた。後編は「物理とデジタルの体験格差をどう解消するか」について、解説していきます。

ハイブリッドワークの「体験格差」にどう対応する?{#ID1}

昨今、ハイブリッドワークが働き方のスタンダードになりつつあります。企業は、社員の多様な価値観やバックグラウンドに合わせた働き方を提供する必要性に迫られています。

その中で、オフィスに出社して物理的にコラボレーションしたい社員と、コロナ対策で在宅勤務を選択したい社員の間では「格差」が生まれがちです。オンラインとオフラインというハイブリッド開催のミーティングでは、出社したメンバーだけで議論が盛り上がったり、逆にリモート参加者の通信環境がよくないために存在感が薄れたりといった課題があることも明らかになってきました。

今後は、より働き方に対して異なる価値観を持つ同僚と、上手にコラボレーションする必要が出てくるでしょう。

オープンか、プライベート空間か

一般論として、ハイブリッドワークではオフィスがコラボレーションの拠点となり、カフェをはじめとするサードスペースや自宅は一人の仕事場と考えられがちです。しかしこれは、「社員がオフィスに求めるのはカルチャーや会社とのつながりや同僚との協働」という考えに基づいています。

もちろん、この考え方は間違ってはいませんが、ハイブリッドワークはもっと複雑なものです。ビジネスパーソンの多くは、オフィスに対し、一人で仕事に没頭できる個室と、同僚とコラボレーションできるオープンな空間の両方を望んでいます。

ザイマックス不動産総合研究所が日本の企業44,324社を対象に行った調査によると、オフィス内の座席(会議室を除く)のうち、固定席とフレキシブルなスペース(フリーアドレス席、リモート会議用ブースなど)にある座席の割合について、「全て固定席」は38.6%にとどまり、約6割の企業はフレキシブルに利用できる座席を用意していることが明らかになりました。

また、現在の状況にかかわらず、今後(1~2年程度先まで)オフィスにあるとよいと思うスペースについては、「リモート会議用ブース・個室」(46.5%)、「集中するためのスペース」(31.8%)、「オープンなミーティングスペース」(29.5%)などが挙がりました。

つまり、フレキシブルなスペースの需要が高まる中で、コラボレーションやコミュニケーションのためのオープンスペースと、集中したり熟考したりするための落ち着いたクローズドスペースの両方が求められているということです。ハイブリッドワーク対応型のオフィスを新しく設計する際は、従業員が集中し、かつ同僚とコラボレーションしながら生産性を高めるという矛盾を両立できるよう、細心の注意を払わなければなりません。

同期型と非同期型コラボレーションの両立

ハイブリッドワークは、オフィスワーカーとリモートワーカーのコラボレーションのルールも書き換えてしまいました。

これまで、オフィスで行われるミーティングやワークショップは、参加者が同じ時間・同じ場所にいなければならない「同期型」が中心でした。しかしハイブリッドワークでは、オフィスに出社している人とリモートワーカーが混在し、異なるタイムゾーンで異なる時間に行われる「非同期型」が当たり前になっています。

参加者が同じ場所にいないときに重要な点は、フォーマルすぎる場にせず、柔軟かつインフォーマルな方法を選択することです。また、協働で報告書を作成するといった事務的な作業を行う場合と、新しい事業や製品のアイデアを出すなど創造的な仕事を行う場合では、必要な環境も異なるはずです。

社員がTPOに合わせて多様なコラボレーションを選択できるようにするために、参加者がデジタル上で集まれるインフォーマルな「ソーシャルスペース」が必要になってきます。それには、ビデオやオーディオなどの機器、常時接続のオンライン環境など、いつでも・誰でも快適に利用できるテクノロジーと通信環境が不可欠です。