産業技術総合研究所(産総研)は7月11日、ペットボトルなどに用いられる「ポリエチレンテレフタレート」(PET)のモノマーである「テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)」(BHET)や、PET原料である難分解性物質「テレフタル酸ジメチル」(DMT)の分解が、酸素のない環境(嫌気性環境)で生じることを解明し、その浄化機構を微生物の培養とゲノム情報に基づき新規提案をしたことを発表した。

同成果は、産総研 生物プロセス研究部門 微生物生態工学研究グループの黒田恭平研究員、同・成廣隆研究グループ長、同・部門 合成生物工学研究グループのマサル・K・ノブ主任研究員らの研究チームによるもの。詳細は、触媒作用や環境科学などの5つの観点から化学工学に焦点を当てた学術誌「Chemical Engineering Journal」に掲載された。

PETを含むプラスチック廃棄物の約8割が地中に埋め立て処分されているほか、近年では深海底でのマイクロプラスチックのホットスポットが発見されるなど、その処分法が世界的な問題となっており、嫌気性環境でのプラスチック類の分解挙動を把握するための基盤的な知見が求められるようになっている。

しかし現在、嫌気性環境に生息するプラスチック分解微生物に関する情報は、ほとんど得られていないことから、研究チームでは今回の研究にて、PETを対象とし、PETが嫌気性環境へ流出した際の環境動態を正確に評価することを目指したという。