PTCの日本法人であるPTCジャパンは6月14日、製造業での課題分析や生産状況の改善(カイゼン)と効率を向上させるアプリケーション「ThingWorx Digital Performance Management(DPM)」の日本市場向け販売を開始したことを発表した。

PTCが提供するIIoTプラットフォーム「ThingWorx」はこれまでに全世界で450社以上の企業の1600以上の工場に導入され、活用が進められているという。今回、国内提供が開始されたThingWorx DPMは、そうした工場を有するさまざまな製造業の生産性を改善させるためのソリューションとして開発されたもの。従来、PTCの顧客は自社で提供されたツールや、自社開発のツールを活用して、設備などのモニタリングを行い、そこから改善点の洗い出しを進め、改善活動を行っており、PTCそのものはそうした活動の支援を行うにとどまっていたという。今回のThingWorx DPMは、そうしたサイクルをプリビルドで提供することで、継続的な改善活動を実施できるようなアプリケーションだとする。

  • ThingWorxソリューションの概要

    ThingWorxソリューションの概要 (資料提供:PTCジャパン)

  • ThingWorx DPMの概要

    ThingWorx DPMアプリの概要 (資料提供:PTCジャパン)

6月より提供開始とするが、すでに同社の2022年度第3四半期中(2022年4-6月)に国内企業の採用が決定しているともしている。導入形態としては、年間のサブスクリプション契約がベースで、顧客が自社で用意したサーバに導入するオンプレミス形式かPTCが用意したクラウドサーバにアクセスする形のSaaS形式、そして契約形態そのものはオンプレミスだが、顧客が自社のクラウド環境に導入するプライベートクラウド形式の3種類としている。現場への導入は平均で3か月ほどだという。

  • ThingWorx DPMの提供形態

    ThingWorx DPMの提供形態 (資料提供:PTCジャパン)

5つのモジュールで構成されているThingWorx DPM

ThingWorx DPMはクローズドループで共通の課題を解決することで生産効率を高め、製造業の大規模なデジタルトランスフォーメーションを支援することが可能であり、大きく5つのモジュールで構成されるという。

  • ThingWorx DPMのクローズドループで実現される継続的改善のイメージ

    ThingWorx DPMのクローズドループで実現される継続的改善のイメージ (資料提供:PTCジャパン)

1つ目のモジュールは「生産ダッシュボード」で、製造工程全体を俯瞰できるダッシュボードとなっている。時間軸で、生産進捗と総合設備効率(OEE)や生産状況を把握することを可能としており、ロスしている工程の時間や、その時点でのOEEの算出などを自動もしくは手動入力の要因情報などと組み合わせて把握することができるようになる。

  • 「生産ダッシュボード」モジュールの概要

    「生産ダッシュボード」モジュールの概要 (資料提供:PTCジャパン)

2つ目のモジュールは、「ボトルネック分析」で、スループットを妨げているラインや工程を自動的に特定し、管理分析を行うことを可能とする。また、そうしたボトルネックの分析から導き出された優先課題に対して、3つ目のモジュールである「パフォーマンス分析」を活用して、生じている無駄や改善後に見込める効果などを時間軸で把握することが可能となるとする。

  • 「ボトルネック分析」モジュールの概要

    「ボトルネック分析」モジュールの概要 (資料提供:PTCジャパン)

  • 「パフォーマンス分析」モジュールの概要

    「パフォーマンス分析」モジュールの概要 (資料提供:PTCジャパン)

4つ目は、「アクショントラッカー」で、そうしたパフォーマンス分析の結果を踏まえた改善課題に対する取り組みの成果を把握することをリアルタイムでできるようにするもので、対策の効果がプラスなのか、マイナスなのかといったことも把握することを可能とするとしている。

  • 「アクショントラッカー」モジュールの概要

    「アクショントラッカー」モジュールの概要 (資料提供:PTCジャパン)

そして5つ目が「エンタープライズ・スコアカード」で、経営的な立場の人がグローバル工場を一目で、どこの工場がどういう状況なのか、経営的な判断をリアルタイムデータを見て行うことを可能とするとしている。

  • 「エンタープライズ・スコアカード」モジュールの概要

    「エンタープライズ・スコアカード」モジュールの概要 (資料提供:PTCジャパン)

なお、PTCジャパンの代表取締役である桑原宏昭氏は、ThingWorx DPMについて「注目度が高く、かつ効果が出やすいソリューション」と表現するほか、「改善すべき点の特定、その優先順位付け、改善活動をした結果、その改善がどの程度あるのかをデジタルで効果測定を行い可視化する。それにより、世界中の工場を見て、どの工場のどこが改善点なのかといった工場ごとの特徴を把握できるようになる。工場単位であっても、ラインごとのボトルネックなどを把握可能。リアルタイムで改善内容をデジタルデータで確認できる」とその特徴を説明。生産状況が改善されることで、生産量の増加、生産時間削減、新規需要の対応などといった取り組みが容易になることを強調し、日本の製造業の生産効率の向上に向けた支援を行っていきたいとしている。

  • ThingWorx DPMのダッシュボードを使用しているイメージ

    ThingWorx DPMのダッシュボードを使用しているイメージ (提供:PTCジャパン)