リコーは4月28日の取締役会において富士通子会社PFUの発行済株式数の80%を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結したと発表して記者会見を開催した。今回の株式取得により、PFUはリコーの連結子会社となる。なお、残りの20%は富士通が継続して保有する。

  • リコーによる記者会見

    リコーによる記者会見

今回の株式取得価格は840憶円となる。PFUはリコーの連結子会社となっても社名は継承するとのことだ。

  • リコーによるPFU買収の概要

    リコーによるPFU買収の概要

リコーは2022年3月に発表した中期経営計画において、顧客価値を高めるための領域として「ワークフローのデジタル化」「ITインフラの構築」「現場のデジタル化」「新しいはたらき方の実現」の4領域を示した。PFUの買収は新しいはたらき方の実現を除く3領域に相当するとしている。

  • リコーが注力する4領域のうち今回の買収は3領域に相当する

    リコーが注力する4領域のうち今回の買収は3領域に相当する

また同計画の中では、事業ポートフォリオとして同社の成長をけん引する事業としてオフィスサービスへの注力と、事業成長のためのM&A計画として2025年までに約2000憶円の投資を表明していた。同社はPFUの買収によって日本におけるオフィスサービスを拡大するとともに、デジタルサービスを支えるエッジデバイスの展開を強化する。

  • リコーの中期経営計画におけるPFU買収の位置づけ

    リコーの中期経営計画におけるPFU買収の位置づけ

リコーは、MFP(Multifunction Peripheral:複合機)を中心としたデバイスとアプリケーションにより、オフィスのEnd to Endのワークフローをデジタル化するプラットフォーム「RSI(Ricoh Smart Integration)」の基盤構築を進める。

PFUが手掛けるスキャナは特に通紙技術や手書き文字の認識に強みを持つ。サイズが不ぞろいな伝票やノンカーボン紙の申込書、免許証などのカードといった、既存の複合機では対応が難しい特殊なドキュメントへの対応も可能となる。

リコーとしてはPFUのエッジデバイスがRSIに加わることで、従来以上にRSI活用領域の拡大が見込める。ワークフローのデジタル化サービスの柱として、今回のPFU買収を捉えているようだ。業務ワークフローの入り口に相当する業務スキャナの展開によって、オフィスサービス事業のビジネス領域を強化する。

  • リコーはPFUのエッジデバイスによりRSIの活用領域拡大を見込む

    リコーはPFUのエッジデバイスによりRSIの活用領域拡大を見込む

さらに、オフィスを中心とした顧客基盤に強みを持つリコーと、業務現場や家庭の顧客基盤に強みを持つPFUのアセットが融合することで、幅広い顧客層をカバーできるようになる。顧客ベースの強化によって、リコーが目指す「お客様の“はたらく”に寄り添ったサービス」の拡大を見込んでいるとしている。

  • 両社の顧客層は分かれているため、広い顧客基盤獲得へとつながるようだ

    両社の顧客層は分かれているため、広い顧客基盤獲得へとつながるようだ

リコーの代表取締役社長執行役員である山下良則氏は「PFUの株式の20%を富士通が持つことで、富士通とPFUならびにリコーグループとのさらなるシナジーを目指す。これを機に両社の連携が構築できれば、お客様の業務のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)をこれまで以上に支援できるはず」とコメントしていた。

  • リコー 代表取締役社長 執行役員 山下良則氏

    リコー 代表取締役社長 執行役員 山下良則氏

なお、PFUは「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」などユニークな機器も展開する。リコーはキーボードもビジネスパーソンとの重要な接点であるとして、引き続き同製品を展開する見込みだ。

  • PFUの会社概要

    PFUの会社概要