慶應義塾大学SFC研究所と富士通は4月14日、異なるアイデンティティー基盤を相互接続して自己主権型で連携利用する実証実験を3月17日〜4月12日に実施し、国内で初めて有効性を確認したことを発表した。

  • デジタルアイデンティティーの相互接続の目指す世界

    デジタルアイデンティティーの相互接続の目指す世界

慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、2021年9月からデジタルアイデンティティー技術に関する共同研究に取り組んでおり、その成果として、富士通は、プロトコルを統一せずに複数のアイデンティティー基盤の相互接続を可能にするアイデンティティー変換ゲートウェイを開発。そして今回、慶應義塾大学の一部の学生を対象に、異なる基盤をシームレスに接続し、サービスごとに異なる見せ方でアイデンティティーを利用する実証実験を実施した。

この実証実験では、慶應義塾大学の次世代デジタルアイデンティティー基盤から実験的に発行したデジタル学籍証明書を、富士通が開発したアイデンティティー変換ゲートウェイで変換した上で、学生が富士通の「IDYX(IDentitY eXchange)」と連携する各種オンラインサービスごとに必要な属性情報を異なる見せ方で開示できることを証明したという。

  • 実証実験とアイデンティティー変換ゲートウェイの概要

    実証実験とアイデンティティー変換ゲートウェイの概要

この仕組みを実用化すれば、企業や大学、自治体が発行する個人の属性情報を利用者自身が様々なサービスに連携利用できるため、例えば、大学が発行した学生情報を、就職活動や卒業後のリクルーティング、また、旅行会社の学生割引サービスに活用するなど、デジタルアイデンティティーによる利便性の向上が期待できるとしている。

慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、この実証実験の成果も生かし、デジタルアイデンティティーを軸にインターネット上で信頼性を担保できるアーキテクチャー設計や技術開発を行う共同研究拠点「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」を、2022年4月に慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス内に新設した。研究期間は2022年4月〜2025年3月。