衛星データ解析によるソリューション提供および小型のSAR衛星(レーダー衛星)の開発・運用を行うSynspectiveは4月12日、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が推進する「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」に関する契約を締結したことを発表した。

近年、リモートセンシング衛星の分野において、高頻度撮像が可能な小型衛星コンステレーションへのニーズが高まる中、特に、夜間、天候を問わず観測が可能であるなどの特徴を持つSAR衛星は、災害対応、海洋監視、安全保障、国土管理などさまざまな分野での利用が期待されている。

しかし現時点では衛星機数が少なく、タイムリーな撮像要望に対応するための多数機コンステレーションの構築が必要である他、小型SAR衛星コンステレーションの有効性や実用性や課題などの整理や評価が必要とされている。

同実証は、国内各省庁でのSARデータの本格的な利用拡大に向け、潜在的な利用ニーズを有するさまざまな行政分野における小型SAR衛星コンステレーションの有効性、実用性を検証・評価するとともに、改善すべき課題などの整理を行う予定。さらに、利用実証の結果を踏まえ、今後の利用拡大推進へ向け日本政府各省における本格的な利用に向けた利活用課題と方向性を提示するという。

Synspectiveは同実証において、実証テーマの設定から自社による小型SAR衛星コンステレーションでの利用実証の実施、実証結果の取り纏め、報告を行う予定だとしている。

実証テーマは、災害対策分野、インフラ管理分野、エネルギー分野など全8分野が想定されており、実証に際し、現在運用中の同社小型SAR衛星「StriX-α」、2022年 3月軌道投入に成功した「StriX-β」、同年内に打ち上げ予定の「StriX-1」を活用し、豪雨による河川氾濫や地震や土砂災害による地盤変動の状況把握、各種インフラの評価・モニタリング手法の実証や、広範囲かつ高精度な風力測定から洋上風力エネルギー推進に資する技術手法の実証などが計画されているという。

また、国内各省における利用実証ののちに、利用機関の業務効率化や質の向上における効果を評価し、実利用に向けた具体的な対応計画を立案していくともしている。

  • Synspectiveが運用する小型SAR衛星から撮影

    Synspectiveが運用する小型SAR衛星から撮影 (出典: Synspective)