大日本印刷(DNP)とトーハンは3月10日、「製造物流改革」の一環として、DNP書籍流通センター(赤羽SRC:東京都北区)をトーハン桶川センター内へ移設して、桶川書籍流通センター(桶川SRC:埼玉県桶川市)とすることを発表した。なお、桶川SRCは2022年10月より稼働を開始し、移設は順次進めて2023年1月に完了する。

両社は2021年から、全面的な提携のもとで「製造物流改革」「情報流通改革」「商流改革」「販促改革」の4つの観点から、生活者を起点とした出版流通改革に取り組んでいた。

  • DNP赤羽SRC

  • トーハン桶川センター

桶川SRCでは、同センターを活用する書店からの注文に対して、同センター内の在庫、および在庫データを連携する出版社の倉庫から迅速な出荷を行う。さらに、POD(プリント・オン・デマンド)製造による品切れのない出荷を実施するという。両社は、「商品供給リードタイム」と「出荷可能なラインナップ」の両面から可能な限りマーケットの需要に応えることで、読者が読みたい本を読みたいときに入手できる環境の整備を目指す。

同センターの試算によると、書店注文の約30%相当が翌日には納品可能であり、出版社倉庫からの取り寄せも含む全ての注文品の平均リードタイムを2日間短縮という結果が得られているという。今後は連携書店の拡大を進める予定とのことだ。

また、生活者からの注文の約30%が出版社在庫からの出荷となっていることを受けて、同センターでは出版社在庫とのデータ連携を行い、書店店頭で出版社の在庫状況も確認できるように整備するという。これにより、読者への利便性や安心感を提供する。

さらに、生活者からの注文のうち約15%はSRC・取次・出版社に在庫がなく、短期での調達が困難である現状に対して、同センターではDNP書籍製造一貫工場と連携し、PODによる短納期かつ小ロットな生産にも対応する。両社は「新刊・売れ筋商品の欠品」と「品切れ重版未定」の根絶を目指す。