労働現場では頭痛は軽視される傾向があるため、慢性頭痛を持つ従業員が頭痛発作に耐えながら就労を続けるケースが多く、生産性やQuality of Life(以下、QOL)の著しい低下が起きているという。

同社はこれらの問題を解決するために、頭痛による支障度の正しい理解およびその改善に向けた職場や従業員の教育や、頭痛に悩んでいる従業員への頭痛対策プログラムを開発し、実施。今回、これらの取り組みが、企業における頭痛対策のモデルケースとして、国際頭痛学会に評価された。

同社は2018年6月、国際頭痛学会、世界保健機関(WHO)、日本頭痛学会との4者共同研究として、同社社内で「職場における慢性頭痛による就業への支障度調査」を実施した。

その結果、調査対象の約2,500人の85%が頭痛を自覚しており、頭痛を自覚している従業員の84%は治療を受けた経験がないことが明らかになった。

加えて、頭痛による休業やパフォーマンス低下によって同社が受ける経済的損失は、慢性頭痛のある従業員1人当たり平均年間10万円(片頭痛では年間26万円)、全従業員に換算すると年間26億円と、従業員全体の年間給与支給総額の約1%に相当することが判明したという。

さらに、慢性頭痛のある従業員の健康関連QOL尺度は、日本全体の標準よりも低下していることが明らかになり、頭痛による仕事や生活への支障度は予想以上に深刻で、当社が頭痛対策プログラム「FUJITSU頭痛プロジェクト」に取り組むきっかけとなったとのことだ。

  • 慢性頭痛による休業やパフォーマンスの低下による経済的損失を試算した結果

2018年の共同研究結果を踏まえ、同社2019年度から国際頭痛学会の世界患者支援連合(GPAC)、日本頭痛学会との3者共同で、「FUJITSU頭痛プロジェクト」のプログラムを開発した。

e-Learning受講による国内のグループ従業員への頭痛に関する正しい知識の習得を起点に、頭痛患者へのビデオセミナー、専門医とのオンライン頭痛相談、頭痛体操などを実施。この取り組みを通じ、頭痛改善による、仕事の生産性やQOLの向上を図るとともに、頭痛患者が安心して働きやすい職場づくりを推進している。

  • 「FUJITSU頭痛プロジェクト」の概要