富士通とカーネギーメロン大学は2月8日、スマートシティの実現に向けてさまざまな施策の立案を支援するソーシャルデジタルツインの共同研究を開始すると発表した。同研究では、行動経済学や行動科学といった人文社会科学と計算機科学を融合したコンバージングテクノロジーによって、人々の動きを高精度に予測しデジタルに再現するとともに、その行動特性に基づいて未来の行動や起こり得るリスクを可視化するという。

  • 共同研究で開発する技術とそれらを活用したソーシャルデジタルツイン上での施策検証イメージ

今回の共同研究で、両者はソーシャルデジタルツインの基盤となる技術の研究開発に取り組む予定だ。人や物、経済、社会の相互作用をデジタル上に再現し、それらの実態を把握することで複雑化な課題の解決に向けた施策立案などの支援を目指す。

例として、2次元情報から3次元情報を推定するニューラルレンダリング技術を用いて、設置角度や障害物の影響によってカメラ映像から見えない人の動きを仮想的に生成し、センシング技術、行動科学、行動経済学などの知見とAI(Artificial Intelligence:人工知能)を融合した行動予測技術の開発を進めるようだ。

また、人の行動と物や経済、社会との関係性を実世界の変化に追従してデジタルに再現するためのヒューマンモデルとソーシャルモデルを構築し、ソーシャルデジタルツイン上でさまざまな施策の事前検証を進めるという。

これにより、多様で複雑な社会課題を解決する上で有効な施策を効率良く導き、将来的には施策目標達成に向けた人々の行動変容を促す働きかけを可能にするなど、ソーシャルデジタルツインと実社会がより良い社会の実現に向けてともに進化する世界を目指すとのことだ。

これらの技術は、環境問題や交通渋滞、経済効率などの都市課題の解決に向けた実証実験に適用することで、効果検証を行う。例えば、ソーシャルデジタルツイン上において都市の道路網の交通量データを活用して交通需要を動的に把握できるモデルを構築し、交通量に合わせた車両規制や通行料を変動させるロードプライシングなどを事前検証することで、都市交通の施策の有効性が検証できるのだという。