国立極地研究所とNECネッツエスアイは2月25日、南極の昭和基地のスマート化を目指した産学連携共同研究として、ローカル5Gを活用した移動無線通信システムの実証実験を開始したことを発表した。同実証実験は、2021年12月~2023年1月(第63次南極地域観測隊夏期間~越冬期間)にかけて実施される。

  • 昭和基地の屋外でスマートフォンを操作しローカル5G通信を利用する観測隊員

同実証実験では、ローカル5G基地局設備を昭和基地の基本観測棟屋上に設置し、昭和基地がある東オングル島および周辺の海氷上においてローカル5Gシステムによる映像中継や、基地設備の遠隔監視、作業負担の軽減をはかるための応用に向けた検討を行う。また、ローカル5Gで利用する4.8GHz帯電波が、昭和基地での観測に与える影響も評価する。

  • 昭和基地ローカル5G基地局の想定カバーエリア

実証実験に使用する携帯端末は、ローカル5Gネットワークにより、屋外からの映像伝送をはじめとして、隊員間の情報通信端末として利用することができる。さらに昭和基地ネットワークおよび衛星通信回線を介してインターネットに接続することで、国内からの遠隔観測支援など、さまざまなサービスを利用することができるようになる予定だ。

  • 昭和基地におけるローカル5G実証実験構成概念図

2021年12月に第63次南極地域観測隊が昭和基地に到着し、63次越冬隊の準備作業の一環としてローカル5G設備の設置作業を開始した。2022年1月末までに設備の設置準備がほぼ完了し、2月の越冬開始にあわせて、南極域でのローカル5Gシステムの試験運用が開始された。