大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月20日、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL新富士Ⅱ」において、NTT Comの熱中症やインフルエンザの発生リスクを見える化する「倉庫環境監視IoTソリューション」を、8月23日より運用開始すると発表した。

  • 「DPL新富士Ⅱ」外観。敷地面積は東京ドームの1個分弱(13,358坪)

このソリューションは、温度や湿度などの環境データを取得可能な2つのセンサーとNTT Comのクラウド上のIoTプラットフォーム「Things Cloud」を活用し、熱中症やインフルエンザの発生リスクをリアルタイムに見える化するもの。他のセンサーも利用可能だという。

リスクの段階に応じて、テナント企業・管理者が施設内の温度コントロールや換気を行うことで、熱中症やインフルエンザの発生リスクを未然に低減できるという。

  • 「倉庫環境監視IoTソリューション」の概要

  • 利用する機器

熱中症の発生リスク見える化では、物流施設内に設置された「WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)センサー」が環境データを測定するとともに、熱中症発生リスクを示す暑さ指数を算出。算出した暑さ指数を「Things Cloud」で収集・蓄積し、「ほぼ安全」・「注意」・「警戒」・「厳重警戒」・「危険」の5段階で判定し、施設内のモニターに表示する。

  • 熱中症発生リスクの表示例

  • 「倉庫環境監視IoTソリューション」の利用イメージ

また、リスクの段階に応じて、テナント企業・管理者に対しリアルタイムにアラートメールを送付する。

  • 「WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)センサー」によって計測される指数

インフルエンザの流行リスクの見える化では、施設内に設置された「温湿度センサー」が環境データを測定。測定したデータを「Things Cloud」で収集・蓄積の上、インフルエンザ流行リスク指数を算出し、「ほぼ安全」・「注意」・「警戒」の3段階でモニターに表示する。また同様に、リスクの段階に応じて、テナント企業・管理者に対しリアルタイムにアラートメールを送付する。

  • インフルエンザの流行リスクの表示例

  • 温湿度センサーによって計測される絶対湿度の値に応じて、インフルエンザのリスクを表示

現状は、アラーム発生時の空調コントロールは実現していないが、将来は、実現する方向で検討していくという。

NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部 5G・IoTタスクフォース 担当部長 飯田博之氏によれば、今回の仕組みは、電源レス(太陽光発電によるバッテリー駆動)、ワイヤレス通信により、導入に際し、大規模な工事が不要な点が最大の特徴だという。

両社は、マルチテナント型物流施設作りに向けた取り組みを継続的に協議。2020年12月3日には「AIを活用したマスク着用の有無や混雑具合を自動検知する」実証実験を開始している。今回の取り組みはそれに続く第2弾。

大和ハウス工業 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室 室長 井上一樹氏

大和ハウス工業 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室 室長 井上一樹氏は、「物流施設は重要な社会インフラであるため、建物のハード面の充実と合わせて、建物に入る企業の従業員に安心・安全に働いていただける環境をDXを使ってつくりだしていくのがデベロッパーとしての使命だと認識している。そのために、こういった取り組みをさらに加速していく」と述べた。

今後両社は、本ソリューションの継続的な改善に取り組むとともに、大和ハウス工業が今後開発するマルチテナント型物流施設への導入を検討するという。

NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 西日本営業本部 第二営業部門 部門長 脇野直樹氏は、「大和ハウスさんが進めるDXに対して、パートナーとして精一杯支援していく」と述べた。