サーモフィッシャーサイエンティフィックは8月4日、空気中のエアロゾルから新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)、インフルエンザA型およびB型ウイルス、RSウイルスB型を捕捉・回収するバイオエアロゾルサンプル回収装置「Thermo Scientific AerosolSense Sampler(AerosolSense Sampler:エアロゾルセンス サンプラー)」を発表した。

  • エアロゾルセンスサンプラー

    Thermo Scientific AerosolSense Sampler(出典:サーモフィッシャーサイエンティフィック)

同装置は、1分間に最大200リットルの空気を吸引し、エアロゾル中のウイルスをサンプルカートリッジに吸着させてウイルスを回収。回収したサンプルカートリッジをPCR装置で分析することにより、ウイルスを同定することが可能だという。

  • エアロゾルセンスサンプラー

    サンプルカートリッジ(出典:サーモフィッシャーサイエンティフィック)

回収したサンプルカートリッジの分析については、同社の「TaqPath 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) リアルタイムPCR検出キット」 、「Applied Biosystems TaqMan SARS-Cov-2, FluA, FluB, RT-PCR Assay Kit」、「Applied Biosystems TaqMan SARS-Cov-2, Flu A/B, RSV RT-PCR Assay Kit」の3つの検査試薬キットで適切な結果がでることを検証済みだという。

ただし、TaqPath 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) リアルタイムPCR検出キットについては、生体試料中のSARS-CoV-2 RNAを検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)する体外診断用医薬品(一般的名称:SARSコロナウイルス核酸キット、承認番号:30200EZX00023000)であり、日本ではエアロゾル中のウイルスを同定する目的では承認されていないとしている。

同装置は、幅35.6cm×奥行33.0cm×高さ36.8cm、重量は約12kgと持ち運びができる設計になっており、さまざまな施設空間での使用が可能だとしている。

最大で約186m2の範囲での使用について動作検証済みで、適切なサンプル回収を行うために2時間から12時間の範囲で使用し、できるだけ人流・滞留の多い場所での測定を推奨するとのことだ。

同社は、経済・社会活動の回復によって発生する人流・滞留の増加を考慮に入れた、新たな感染対策が求められるフェーズに入ってきているとしており、医療機関、介護施設、オフィス、学校、スポーツ・娯楽・宿泊・商業施設、港湾・空港施設での活用を見込んでいるという。

なお、同製品の出荷開始は9月を予定している。

AerosolSense Samplerの概要についての動画(出典:サーモフィッシャーサイエンティフィック)