スマートフォンでターミナルアプリを実行するという主旨の記事はたびたび登場する。そうした記事の多くは、SSHの機能を備えたアプリからLinuxサーバにリモートログインして作業を行うといった内容になっている。これに対し、Opensource.comの記事「Use a Linux terminal on your Android phone|Opensource.com」には類似の記事とは違う点が2つある。

1つは、取り上げているアプリTermux」がAndroidのみに対応しており、iPhoneやiPadでは使えない点だ。もう1つは、「Termux」で利用できるパッケージを開発するほうがAndroidのアプリを開発するよりも簡単である、と主張している点だ。

「Termux」はAndroid向けのターミナルエミュレータアプリであり、Linuxディストリビューションアプリという側面も備えている。必要最小限のLinux環境を備えており、この環境の中だけでもある程度の作業を行うことができる。SSHを使えば外部のサーバにログインして作業を行うこともできる。

  • Termux

    Termux

Linuxのコマンドをある程度内包したターミナルアプリはいくつかあるが、Termuxはパッケージ管理システムを使って新しいパッケージをインストールできる点が興味深い。パッケージ管理システムはFedoraのDNFに似ており、コマンドとしてはpkgというコマンドを利用する。

Opensource.comは「Androidアプリの開発には高い障壁が存在するが、Termuxのパッケージ開発はこれよりも敷居が低い」と指摘。これは、より多くのユーザーがTermuxのパッケージ開発が可能であることを示唆していると説明している。

Opensource.comには、Termuxを使ってPythonアプリ開発をAndroidで実施するという内容の記事「Create and run Python apps on your Android phone | Opensource.com」もある。前述したTermuxのパッケージ管理システム機能を使ってPythonをインストールし、Termuxの中でPythonを使ったアプリ開発を行う、といった内容になっている。

紹介されているPythonのインストール方法は次のとおり。

TermuxにPythonをインストールする方法

pkg install root-repo
pkg update
pkg install python

記事では、Termux内でPythonアプリを開発するとともに、ミニWebサーバであるFlaskを実行して、作成したアプリにAndroidのブラウザからアクセスする方法も取り上げている。この方法を使えばPythonによるアプリ開発が可能であるとともに、自分だけが利用可能な状態にできる。Androidで実際に使用できるソフトウェアを開発する方法として興味深い。