日立システムズは3月31日、日立システムズネットワークスや日立システムズフィールドサービスと連携し、ローカル5GやWi-Fi 6、sXGP方式(プライベートLTE)など、進化・多様化する通信技術の動向を踏まえ、顧客のニーズや業務環境に適したネットワークシステム、新たなデジタルサービスを提供していくため、社内に5Gの次世代無線通信実験局を4月に開設すると発表した。

現在、移動体通信事業者が進めている5Gサービスに加え、一般企業や自治体などが個別のニーズに応じて建物や敷地内に限定して利用できるローカル5G無線局の免許交付が始まっており、ローカル5G無線局は5Gの高速・低遅延・同時多接続といった特徴を活かし、製造業のスマートファクトリー化や建設現場のデジタル化、交通機関などでの映像監視など、さまざまな分野で活用が期待されている。

しかし、実際の利用にあたっては解決すべき多くの課題があり、従来の無線ネットワークとは異なる電波特性を踏まえた適切な通信設計、所管当局への免許申請の手続き、近隣の地域広帯域移動無線アクセス(地域BWA)などとの電波利用の調整、適切な設置工事、実際に利用される際の保守・運用やセキュリティの確保など、構築や運用において多くの知見やノウハウが必要になっている。

こうした背景を踏まえ、日立システムズは、次世代無線通信におけるお客さま課題解決を目的とした実験局を開設。ローカル5Gの検証をするとともに、Wi-Fi 6やsXGP方式のほか、今後新規に実用化される次世代無線通信技術の検証を随時行う。

実験局の開設を通じて、免許申請の手続きや地域BWAなどとの電波利用の調整をはじめとしたノウハウを蓄積するとともに、設計時や安定運用に必要な無線電波測定などのアセスメント技術、運用段階で必要とされるセキュリティ技術など、これまで培ってきた技術をさらに高度化させていく。

また、ネットワーク構築・工事・保守の分野で実績を持つ日立システムズネットワークスや日立システムズフィールドサービスなど日立システムズグループ各社と連携し、適切な設置工事や保守・運用などのサービス提供体制を構築しする。

これらの知見や体制を活用して新たなデジタルサービスの開発を推進し、具体的には製造現場における稼働データの一括収集や産業機械の制御、カメラ映像のリアルタイム収集・配信など、経営課題の解決に向けた実証を積極的に行う。

さらに、これまで日立システムズが提供しているドローンの操縦・撮影代行などをワンストップでサポートする「ドローン運用統合管理サービス」や現場作業の負荷軽減を支援する「CYDEEN フィールド作業支援サービス」など、次世代ネットワークと親和性の高いサービスとの融合にも取り組む考えだ。

実験局での主な検証内容については、無線性能測定技術および電波データ解析技術のフィールド検証、高品質担保無線ネットワーク運用技術の検証、各種アプリケーションとの連携検証などを想定している。