東京商工リサーチは3月12日、2020年1・2月に募集した上場企業の「早期・希望退職」実施状況を発表した。2020年1・2月に早期・希望退職者を募集した上場企業は19社に達した。前年同期を10社上回っており、わずか2カ月で2019年1年間(36件)の半分と急増しているという。

同社は最近の特徴として、各業界で大手中心に、事業の新規展開に伴う既存事業や人員の見直しに着手する企業が増加していると指摘している。3月に入り、株価乱高下、円高進行など景気後退局面の兆しも見え、「黒字リストラ」といわれる業績堅調な企業の人員削減だけでなく、業績の不振企業の退職者募集も増勢に転じることが予想されるという。

19社の業種別では、少子高齢化で国内の消費人口の頭打ちとなるなど、今後の消費動向を見据えた小売と食料品が各3社でトップとなった。店舗の抜本的見直しを図る百貨店(三越伊勢丹ホールディングス)とコンビニエンスストア(ファミリーマート)、2月はインバウンド激減で大打撃を受けるラオックスが子会社の構造改革と併せて募集を発表した。

食料品は、味の素に加え、19年に実施したキリンホールディングスに続き、サッポロホールディングスが20年内に2回の募集を行う予定。飲料が主力のダイドーホールディングスも「ライフシフト支援施策」の名称で50代以上の社員を募集する一方、20代~40代の社員約100人の新規採用も予定し、社内の若返りを図る。

  • 2020年 主な上場企業 希望・早期退職者募集状況(2月29日現在) 資料:東京商工リサーチ

本記事のタイトルが「2020年1・2月上場企業の早期・希望退職、最多はファミリーマート1205人」となっておりましたが、正しくは「2020年1・2月上場企業の早期・希望退職、最多はファミリーマート1025人」となります。
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