ソフトバンクの子会社で位置情報を活用したビッグデータ事業を行うAgoop(アグープ)と、同志社大学は12月18日、発災時に「どこで異常が起きているか」の発見を迅速に行うことを目的に人の滞留や流れの変化を自動で検知するため、AI(人工知能)を活用した発災時の異常検知システム開発に向けた共同研究を行うと発表した。

Agoopは2018年2月に提供を開始した、最短10分前の人の流れを地図やグラフなどを用いて分かりやすく可視化するサービス「Kompreno(コンプレノ)」で、駅における人の滞留や避難所の混雑具合、道路寸断や交通網麻痺による歩行者滞留など、さまざまな異常の発見を可能にしている。

同志社大学文化情報学部統計科学研究室(宿久洋教授)では「大規模複雑データの解析法に関する研究」「データ解析に関する実践的研究」などをテーマに、株価データ解析、マーケティングデータ解析、スポーツデータ解析を中心に、幅広い分野を分析対象としてデータ解析に関する研究を行う。

今回、共同研究で開発するのは発災時に「どこで異常が起きているか」の発見を迅速に行うことを目的に、AIを活用して異常を自動検知する仕組みとなり、平常時と異常時の人流データを比較し、人の滞留差分が大きいエリアを自動で検出して、異常発生地点の候補を導出する。

迅速に状況を把握することで、避難経路・避難場所・物資の配給・人命救助・帰路の確保などの意思決定をサポートできるような異常検知システムのプロトタイプを構築。Agoopが保有するデータは膨大で複雑なデータ分析が必要となるため、データサイエンスや統計分析の能力を持つ人材を育成する宿久研究室別と連携して、共同研究を行うことになった。

両者は、今回の共同研究を契機に防災・減災分野での位置情報ビッグデータの利活用を促進し、付加価値の高いデータを提供して、災害プラットフォームの構築を目指す考えだ。