NTTコムウェアは、清水建設と共同で、画像認識AI「Deeptector」を用いて、ガス圧接継手)に関する検査業務アプリ「鉄筋継手AI検査」の実証実験を開始したと発表した。

ガス圧接継手は、建築現場で鉄筋の接合端面を突き合せて、圧力を加えながら加熱し、接合端面を溶かすことなく赤熱状態でふくらみを作り接合する工法。

建設業界においては、施工品質を担保する工事検査業務においては、目視による人手を介した作業が多くを占め、検査項目は膨大に及ぶことから、検査業務の自動化・省力化を図るとともに、熟練者の保有しているノウハウを吸収した工事監理者を早期に育成することが求められているという。

ガス圧接継手は、継手の約7割(約3000万箇所)を占め、これまでは、測定器具を使った熟練検査員による目視判定を行っていた。目視判定は、精度にバラツキが生じ、検査結果の記録・確認にも時間がかっていたという。

  • 目視による判定をAIで自動化

NTTコムウェアは、清水建設と共同で、画像認識AI「Deeptector」を用いて、ガス圧接継手)に関する検査業務アプリ「鉄筋継手AI検査」を開発。このスマホアプリは、撮影した写真を画像認識AI「Deeptector」により、チェック項目6項目のうち、5項目を同時に判定する。写真撮影の際もアングルガイドを表示して、高精度でバラツキのない検査を可能にするほか、送信機能を設けることで、検査結果をリアルタイムで記録する。これにより、1箇所5分程度かかっていた検査作業を、20-30秒程度まで短縮できるという。

  • チェック項目6項目のうち、5項目を同時に判定

  • 「鉄筋継手AI検査」による判定

なお、「鉄筋継手AI検査」においては、ガス圧接継手の輪郭画像をAI学習させることでセグメント検出の精度を高め、さらに、所定の検査項目をロジックとして組み込むことによりOK/NG判定を行うNTTコムウェア独自のAI判定方式(特許出願中)を採用している。

これまでは、室内で検証を行っていたが、今後は現場でのトライアル(2020年1月~2020年3月)に着手し、認識率や使い勝手の検証を行う。

今後両社は、「鉄筋継手AI検査」を育成支援ツールとして、来年度早期に実運用することをめざし、工事監理者の人材育成に活用していく。