KDDIは6月4日、海運業界をはじめとする船舶向けに英インマルサットの衛星通信サービス「インマルサットFleet Xpress」(FX) の提供を開始した。

近年、海運業界は、船主やオペレーターなどによる船舶の運航支援やエンジンなどの遠隔監視のほか、乗組員によるスマートフォンの利用など、船舶におけるブロードバンド化に対するニーズが進行している。

これまで主に船舶向けに提供している衛星通信サービス「インマルサットFleet Broadbandサービス」(FB)は天候に左右されることなく、安定して通信ができる反面、通信速度は受信最大432kbpsまでという特徴があったという。

FXは、FBの約18倍の速度を持つ受信最大8Mbpsの通信が可能な衛星通信サービス「インマルサットGlobalXpressサービス」(GX)にFBを組み合わせた、船舶向けハイブリッド高速衛星通信サービス。

船内に専用機器を置くことでGXの高速通信を提供できるほか、降雨などの影響で高速通信が難しい時はFBに自動的に切り替えることで、海上にいながらも地上と同様に、エリアや天候に左右されない安定した通信環境を実現し、提供料金はデータ従量制のFBと異なり、月額固定となる。

  • ネットーワークのイメージ

    ネットーワークのイメージ

また、Kaバンド(マイクロ波の周波数帯の1つで27~40GHz帯のこと)のGX回線により受信最大8Mbpsの通信が利用可能なほか、天候などの影響を受けてKaバンドが利用できない環境では天候に左右されにくいLバンド(マイクロ波の周波数帯の1つで1~2GHz帯のこと)のFB回線に自動的に切り替えることで、シームレスで信頼性の高い通信の利用を可能としている。

さらに、FXはデータ通信中であっても約5チャンネルの音声通話の同時利用が可能なほか、アンテナの直径が100cmと65cmの2つの異なるモデルを用意しており、船舶の大きさに合わせて最適な設置ができる。加えて、船内の通信管理機器を利用することで業務目的と船員個人利用目的での帯域制御ができるという。

提供プランは「CIR (Commited Information Rate: 最低確保帯域)設定なしタイプ」「CIR設定あり送受別速度タイプ」「CIR設定あり送受同速度タイプ」の3タイプを用意し、送受信速度などにより、さまざまなプランを用意。まずは、外国籍船向けにサービスを提供し、日本籍船向けへの提供は7月を予定している。