NTTグループ(NTT、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、ディメンションデータ)とDell Technologies(Dell、Dell EMC、VMware)は、5月1日(米国時間)、スマートシティイニシアチブのための共同実証実験を含めた提携を拡大するとともに、米国ラスベガス市内における公共安全ソリューションの共同実証実験を2018年9月から2カ月間実施すると発表した。

  • 米国ラスベガス市内の公共安全ソリューション概要

この件について、6月の株主総会で社長に就任する予定のNTT 代表取締役副社長 澤田純氏とDell EMC サービスおよびデジタルIT担当プレジデント ハワード エライアス(Howard Elias)氏が都内で説明した。

6月の株主総会で社長に就任する予定のNTT 代表取締役副社長 澤田純氏

今回のソリューションの特徴について澤田氏は、「1日~2日でセットアップでき、移動も簡単だ。その意味でもコストが抑えられ、メタデータだけを利用することでセキュリティ的にも安全だ。また、キャリアの公衆網も利用しないソリューションでもあり、柔軟性もある」と説明。

そのほか、「俊敏に現場の状況を捉えることができるセンシングと先を見越して何が起きるかを予測するAI、ICTを柔軟に配置できる使いやすさの3つが特徴だ。ラスベガスの例では、Dell Techorogyの技術を利用して、ICTリソースを仮想化。また、NTT研究所が開発したマルチオーケストレータの技術を使って、複数のICTリソースを同時に管理する技術を組み合わせことで、どんな通信環境や顧客システムであっても、それらにオーバレイできる。実証実験では、そこを確認していく」と語った。

Dell EMC サービスおよびデジタルIT担当プレジデント ハワード エライアス(Howard Elias)氏

一方、Dell EMC サービスおよびデジタルIT担当プレジデント ハワード エライアス(Howard Elias)氏は、「今回のNTTとの実証実験は、エッジ、コア、クラウドという、End to Endでシステムを提供している点で、Dell TecnologyのIotの戦略とも合致している。今回のソリューションではエッジコンピュータやデータセンターのハイパーコンバージドの技術を使いなから、ベースとなるインフラ仮想化を提供する。そして、今回の実証実験を経て、この仕組みを他の都市にも展開したいと思っている」と述べた。

今後の海外展開について澤田氏は、「NTTでは、フルスタックの能力を提供し、NTTの戦略であるB to B to X(Everything)にしていきたいと思っている。そのためには、良いパートナーが必要で、われわれはDellを選び、Dellはわれわれを選んだ。私どもにとっては、パートナーと組んでスマートソリューションを提供するのは、今回が初めてで、そういう意味でエポックメイキングな契機になる。今回のパッケージの内容は、2カ月の実証実験で固まると思っている。それを来年の1月から他の都市にも展開したいと思っている。それは、米国だけではなく、日本を含め、全世界を対象にしていく。セーフティソリューションはDellと一緒に行い、それを他の産業に広げたいと思っている」とDellとの提携範囲を拡大する意向を示したほか、「この監視ソリューションにおいては、Dellとやっていくが、他の領域においては排他的な関係ではない」と、スマートシティにおいて、他社との連携の可能性は否定しなかった。

一方、Dell側もNTTとの連携を拡大する意向を示し、エライアス氏は「ラスベガスの次の案件についてはまだ話をしていないが、この市場は非常に大きく、スマートシティだけでなく、スマートビル、スマートファクトリ、農業にも広げていきたい。なぜ、われわれがなぜNTTとパートナーシップを組んだかといえば、単に技術が優れているというだけでなく、END to ENDで提供するには、ネットワークやSIも必要だからだ。そういう意味で2社の組み合わせで強力な力を発揮できると思っている」と語った。