センスウェイは2018年4月13日、LoRaWANによるIoTプラットフォーム「SenseWay Mission Connect」を本日から提供することを都内で発表した。三井不動産が所有・関係する高層ビルやマンションなどの屋上にLoRaWANゲートウェイ基地局を設置し、全国展開を推し進めながら、2019年3月末までに人口カバー率60%を目指す。センスウェイ 代表取締役 信藤薫氏は「IoTのラストワンマイルを提供し、よりスマートな社会インフラを創出する」と意気込みを語った。

  • センスウェイ 代表取締役 信藤薫氏

    センスウェイ 代表取締役 信藤薫氏

総務省が2017年7月に発表した「平成29年度 情報通信白書」によれば、2020年までにIoTデバイスの数は300億台(グローバル)まで増大するという。そのため、IoT社会を実現するために必要になるネットワーク基盤として、低電力かつ広域をサポートするLPWAN(Low Power Wide Area Network)に注目が集まり、日本国内では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が2016年11月から開始したSIGFOXネットワークが先行している。同ネットワークは2009年にフランスの通信事業者であるSIGFOXが提唱した規格だが、他方で500以上の企業メンバーが参加するLoRa Allianceが管理するLoRaWANも存在感を増してきた。センスウェイの説明によれば、フランスや韓国では全国をカバーし、車が通ると電灯が点灯するスマートアベニュー(道路)や、センサーで車両を認識するスマートパーキング(駐車場)といったスマートシティ化が進みつつある。

センスウェイはLoRa Allianceのコントリビュートメンバーとして、LoRaWANの規格仕様策定に進言する権利を持ち、「日本の需要を積極的に組み込むように進言してきた」(センスウェイ 専務取締役 神保雄三氏)。その優位性を用いて同社はLoRaWANによるIoT通信プラットフォームサービス「SenseWay Mission Connect」を4月13日から提供する。LoRaWANデバイスから取得したデータをLoRaWANゲートウェイ経由で同社が設置するサーバーに蓄積し、利用者はアプリケーション経由でサーバー上のデータを活用するが、本ソリューションはゲートウェイおよびサーバー運用管理を指す。

  • センスウェイ 専務取締役 神保雄三氏

    センスウェイ 専務取締役 神保雄三氏

  • SenseWay Mission Connectの概要

    SenseWay Mission Connectの概要

三井不動産の協力を得て、同社および同グループに関係する200メートル級の高層ビル・マンションにゲートウェイを設置。既に日本橋三井タワーやパークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウェストは設置を終え、東京ミッドタウン日比谷への設置も予定している。センスウェイは「現状(のゲートウェイ設置)は関東を中心に30カ所にとどまるが、2018年8月末までに1都3県、11月末には主要都市圏に拡大し、2019年3月末までに人口カバー率60%達成を目指す」(神保氏)。

IoTソリューションを実現する課題の1つに、実証実験のコストやIoTエンジニア不足などがある。センスウェイはこの課題を解決するため、Web経由でIoTデバイスを容易に管理する「SenseWay Mission Connect Management Console」を用意。「LoRaWAN Shield for Arduino」を6,400円(税込み)、「LoRaWAN Shield for Arduinoセット」を8,000円(税込み)をAmazonで販売する。

  • 会場では「LoRaWAN Shield for Arduinoセット」によるデモンストレーションも行われた

    会場では「LoRaWAN Shield for Arduinoセット」によるデモンストレーションも行われた

  • Node-Redを利用し、LoRaWAN Shield for Arduinoセットで30秒ごとに受信したデータを表示。誰でも簡単な計測環境を構築できる

    Node-Redを利用し、LoRaWAN Shield for Arduinoセットで30秒ごとに受信したデータを表示。誰でも簡単な計測環境を構築できる

肝心のビジネスモデルだが、初期費用や契約期間の縛りを設けず、1デバイスあたり30円/月(税抜き)。これは1日の接続回数が12回、通信間隔の目安は2時間というケースだが、接続回数が48回、間隔が30分になると50円/月(税抜き)。接続回数が144回、間隔が10分でも100円/月(税抜き)と前述したSIGFOXの料金体系に近いが、IoTデバイス数が数千、数万と増えれば決して安価とは言い難(がた)い。その点について、センスウェイは1デバイスあたり8円/月となるボリュームディスカウントの提供を予定しており、「具体的な台数を設定していないものの、200~300万デバイスをイメージしている。業界最安値を目指す」(神保氏)と述べる。また、自身でLoRaWANサービスエリアを拡大する室内用・屋外用レンタルゲートウェイを提供する。室内用基地局「G-BOX」の月額利用料金は4,800円(キャンペーン期間は3,400円)/台、屋外用基地局「G-ODU」の月額利用料金は19,800円/台(管理費込み、別途工事費が必要)。これらの仕組みでセンスウェイは「国内流通のIoTデバイスの接続シェア10%(1億5千万デバイス)」(神保氏)を目標としている。

これだけのネットワーク網を構築するには、1企業が単独で行うのは難しい。そこでセンスウェイはパートナープログラムを用意する。デバイス、クラウド、アプリケーション、インテグレーション、セールス、ビジネスクリエーションの6分野にわたるパートナーを募集し、パートナーマッチングなどIoTによるビジネス創造を支援。既に本日時点で50社が参画を表明している。同社は「エコシステムを構築してスマートシティやスマート社会の実現に寄与貢献したい」(センスウェイ 執行役員 福西佐允氏)と説明した。

  • センスウェイ 執行役員 福西佐允氏

    センスウェイ 執行役員 福西佐允氏

  • パートナープログラムの概要

    パートナープログラムの概要

  • 会場に並んだデバイスパートナーのIoTデバイス群
  • 会場に並んだデバイスパートナーのIoTデバイス群
  • 会場に並んだデバイスパートナーのIoTデバイス群