KDDI総合研究所、国際航業、東北大学、日立ソリューションズ東日本、理化学研究所は2月24日、欧州委員会が実施する「Horizon 2020」(2014年~2020年の7年間にわたる総額800億ユーロ規模のEU研究イノベーション枠組み計画)と連携して、プライバシーに配慮したiKaaS(intelligent Knowledge-as-a-Service)プラットフォームの実用性を検証するため、宮城県仙台市宮城野区田子西地区(以下、田子西地区)に設置されたセンサなどから取得したデータを利活用する実証実験を、欧州と共同で同日~9月30日まで実施すると発表した。

iKaaSは多種多様なデータや、そのデータから得られた知識を流通させるために、プライバシーやセキュリティに配慮する機能などを組み込んだ高度知識集約型プラットフォーム。

iKaaSプラットフォームの概念図

今回、日欧の研究機関で構築したiKaaSプラットフォームを介して、田子西地区のタウンマネジメントサービスを想定した実証実験を実施する。屋内外に取り付けたセンサ情報や、異なるクラウドに存在する都市空間データ、気象関連データなど、さまざまなデータをプライバシーなどに配慮した開示制御をしつつ統合して処理することで、消費電力や発電量予測の効率化につなげることを目指す。

また、過去・現在・未来の町の様子を利用者にわかりやすく示すことができるよう、データのリアルタイムの変動やデータ処理結果を体感的に表示するアプリケーションを用意し、地方自治体・街づくりに関わる事業者や住民の防災・省エネ・都市計画などに応用することを検討している。

iKaaSプラットフォームを活用したデータ表示例

これまで日欧の研究機関が共同でiKaaSプラットフォームを実現するための要件を策定するとともに、プラットフォームの基盤技術として、サービス連携の基盤となる空間情報に対する表現形式の拡張や各クラウドから集めたデータを結合して解析することで得られた知識の再利用方などを分担して開発を進めている。

プロジェクトは9月30日で終了するが、プロジェクト終了まで、プラットフォーム・アプリケーションの有用性を実証する実験を日欧で連携して行い、その結果を最終報告として取りまとめる。また各研究機関では、その後の普及展開についても引き続き研究開発を進めていく。なお、本実証実験は総務省が研究委託する「プライバシーに配慮した情報提供を可能にする高度知識集約プラットフォームの研究開発」の一環として行う。