「AIを強みに小売り広告事業の開拓を」  サイバーエージェント・山内隆裕が目指す新事業創造

コンビニ加盟店の売上増加へ小売り広告の合弁会社を設立

 

「新会社は、広告をワクワクさせる情報へ進化させ、買い物体験を豊かにし、商品との出会いをつくることがミッション。お客様に役立つ情報と出会いをご提供することで、お客様の新しい買い物体験が可能となる」 

 こう語るのは、セブンーイレブン・ジャパン社長の阿久津知洋氏。 

【 書評 】『ソニー神話を壊した男 出井伸之が創った未来』

 セブンと電通、サイバーエージェントが、新たにリテールメディア(小売り広告)事業を手掛ける合弁会社「セブンーイレブン・アドコネクト」を設立する。セブンの店舗内に設置されたデジタルサイネージ(電子看板)やレジ、携帯アプリを中心に新商品や新サービスなどの広告を配信。コンビニ加盟店の売上増加につなげるのが目的だ。 

 具体的には、セブンの店舗に設置しているデジタルサイネージを活用し、時間帯や天候、在庫などのリアルタイムな状況に応じて最適な広告を配信。セブンが持つ全国約2万2千のリアル店舗と約2800万人のアプリ会員を軸に、電通が持つ広告代理店としてのプランニング力と、サイバーエージェントがインターネット広告で培った広告技術を組み合わせるという。 

 サイバーエージェントのインターネット広告事業を支えるのが技術力。同社は2016年にAI(人工知能)技術の研究開発組織『AI Lab』を開設。現在は約100名の研究員が在籍。ここで東京大学や京都大学など、国内外45の学術機関との産学連携で技術を磨き、AIを強みとして、広告効果の最大化を目指す考え。 

 同社社長の山内隆裕氏は「当社は創業以来、変化対応力を強みに、インターネット広告事業を始め、(インターネットテレビの)『ABEMA』などのメディア事業に挑戦してきた。中でも、今回のリテールメディア事業に関しては、2017年から注力している分野の一つ。関連するアドテクノロジー事業においても、AI研究を中心に、早期から参入して開発試験や実績を積み重ねてきた」と語る。 

 日本の広告市場は、2019年にインターネットがテレビを抜き、広告媒体として最大のシェアを誇るようになった。 

 2025年の広告市場規模は8兆円超。インターネットは4兆459億円(前年同期比10.8%増)、マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)2兆2980億円(同1.6%減)と、今では市場全体の半分以上がインターネットだ。 

 こうした中、近年、急成長しているのがリテールメディア広告(6066億円)。前年の約1.3倍伸びており、けん引役となっているのがコンビニやスーパー、ドラッグストアなどの小売り店舗。近年はファミリーマートやローソン、イオンが同事業を強化しており、今回のセブンの新会社設立もそうした流れの中にある。 

 インターネット広告事業をメインとするサイバーエージェントにとっても、リテールメディアという新領域の開拓は今後の成長に向けて不可欠だ。 

「やはり、全国2万2000店舗、毎日2000万人を超える来店客があるセブンさんの規模は非常に魅力的。2800万人のアプリ会員データなど、顧客接点も多く、より広告効果の高いものをつくっていけると思う」(サイバーエージェント リテールメディア事業本部統括の高橋篤氏) 

 

続きは本誌で