三菱自動車工業は4月26日、同社が生産していた自動車の燃費試験不正行為について国土交通省に報告書を提出し、その概略を発表した。

同発表では燃費試験データ不正の経緯と法規に定められたものと異なる測定法である「高速惰性法」が使用された経緯について説明。同社の発表内容は以下の通り。

軽自動車における燃費試験データ不正の経緯について

1. 14型『eKワゴン』『デイズ』(2013年2月申請)に設定されている4つの類別(燃費訴求車、標準車、ターボ付車、4WD車)のうち、燃費訴求車の開発において、目標燃費は当初(2011年2月)26.4km/lであったが、その後の社内会議で繰り返し上方修正され、最終的(2013月2月)には29.2km/lまで引き上げられた。

2. 同燃費訴求車につき、法規で定められた惰行法と異なる方法「高速惰行法」で走行抵抗データを実測。燃費を良く見せるため、計測したデータの中から小さい値を選別し、走行抵抗を設定した。残る3類別については、実測を行うべきところ、同燃費訴求車の値を基に机上算出した。

3. 14型『eKスペース』『デイズルークス』(2013年10月申請)、15型『eKワゴン』『デイズ』(2014年3月申請)、15型『eKスペース』『デイズルークス』(同年12月申請)、16型『eKワゴン』『デイズ』(2015年6月申請)のいずれについても、14型『eKワゴン』『デイズ』を基に目標燃費に合わせて机上算出し、申請していた。

法規に定められたものと異なる測定法「高速惰行法」使用の経緯について

以下のいずれについても、当時の判断理由については調査中。

1. 1991年、道路運送車両法により走行抵抗の測定法が「惰行法」と指定されたが、当社ではそれと異なる「高速惰行法」で国内向け車両の計測を始めた。

2. 1992年1月、走行抵抗から惰行時間を逆算する計算法が作られた。

3. 2001年1月、「惰行法」と「高速惰行法」の比較試験を実施し、最大2.3%の差にとどまることを確認。

4. 2007年2月、試験マニュアルにより、「DOM(国内)はTRIAS(「惰行法」)」と追記改定したが、以降も「高速惰行法」を継続して使用していた。

なお、上述の経緯に関する原因や責任ならびに軽自動車以外の同社製車両についても引き続き調査を続け、報告するとしている。