(提供:大阪大学)

STAP論文問題の舞台となった理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター(神戸市) のセンター長に、大阪大学大学院生命機能研究科教授の濱田博司(はまだ ひろし)氏(64)が内定した。理研が1月29日発表した。同センターは、STAP研究の中心だった 小保方晴子(おぼかた はるこ)元研究員(昨年12月に理研を退職)の研究不正を教訓にした改革の一環として、昨年11月に旧発生・再生科学総合研究センターを再編して組織された。新しいセンター長は、外国人研究者を含む外部有識者からなる委員会が選考していた。着任は4月1日付。

濱田博司教授は、主にマウスの実験で動物の体の左右非対称性を探求し、発生初期の左右軸の決定という発生学の難問を解いた。また、大阪大学大学院で生命機能研究科長を務め、若手研究者の育成や組織運営にも携わってきた。この経験を生かし、研究開発のガバナンス強化に取り組むなど、研究センターで進めている改革の着実な推進に手腕が期待された。1975年に岡山大学医学部卒、医学博士で、東京大学医学部助教授などを経て、1995年から大阪大学教授。2014年に紫綬褒章や慶應医学賞を受けた。

理研の野依良治(のより りょうじ)理事長は「改革の歩みをとめることなく進めて、世界初のiPS細胞を用いた臨床研究を行ってきた現場をさらに力強く導く」指導力に期待した。濱田博司教授も「国際的に高い評価を得ている研究活動の水準を保つとともに、基礎研究と応用研究のバランスを考慮した活動、ガバナンスの強化などに精いっぱい取り組んでいきたい」とコメントした。

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