東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)は10月1日、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所(ISM)、筑波大学、日本電信電話 コミュニケーション科学基礎研究所(NTT CS研)と共に、今後5年間をかけて地上大型望遠鏡「すばる」で取得される25兆ピクセルにおよぶ膨大な画像データを解析し、目には見えない宇宙のダークマター分布を3次元で明らかにしていくと発表した。

この解析の過程において、宇宙のビッグデータと情報統計学を融合させた新領域「統計計算宇宙物理学」という学問を創出すると一方、誰でもオンデマンドで宇宙を探索できる次世代アプリケーション技術を開発することにも挑戦するとのこと。

カブリIPMUは、ハワイ、マウナケア山頂のすばる望遠鏡に新しく搭載した超広視野カメラ「Hyper Suprime-Cam」から得られる300夜分、25兆ピクセルのビッグデータを用いて宇宙の未来を予測する研究を進めている。画像データに隠れたダークマターやダークエネルギーといった未知なる宇宙の構成要素を効率的に抽出することが重要とされており、ISMとNTT CS研の技術や手法を用いて画像を解析することで、新天体発見や宇宙の未知の現象に迫っていく。

すばる望遠鏡に新しく搭載した超広視野カメラ「Hyper Suprime-Cam」(クレジット: 国立天文台・HSC プロジェクト)

また、分散ストレージとデータベース技術を保有する筑波大学との連携により、可視化した天体カタログデータベースを、広く一般に公開する。これにより、世界各国の天文ファンが100億光年先の宇宙をスマートフォンや家庭のテレビでも楽しむことができる環境の構築を目指していく。

「統計計算宇宙物理学の創出」は、カブリIPMUの将来計画において提案する、新しい分野融合のテーマとして最も重要な研究課題と位置づけらており、基礎研究成果を利用して応用分野に進出する、カブリIPMUとして初めての試みとなる。