アットマークテクノは4月30日、PUXの画像認識ソフトウェア「ソフトセンサー」が組み込みプラットフォーム「Armadillo」に対応したと発表した。

近年注目されている「IoT(Internet of Things」および「ビッグデータ」の浸透に伴い、カメラで撮影した顔画像やナンバープレート画像を認識して得られた情報をマーケティング分析に活かそうというニーズが高まっている。一方で、カメラ端末で撮影した画像をそのままクラウドに送信すると、転送データ量が膨大になる、プライバシー保護の観点からの懸念がある、などの問題点がある。その解決法の1つとして、画像認識までの処理をカメラ端末(エッジ)側で行い、個人を特定できない認識結果データのみをクラウドに送信するインテリジェントカメラの機能を使ったシステム構築の手法が広がりつつある。

このような時代背景のもと、アットマークテクノとPUXは、インテリジェントカメラへの利用を想定した高性能プラットフォーム「Armadillo-800」シリーズ向けに、「ソフトセンサー」のナンバープレート認識ソフトウェアおよび笑顔推定や視線検出、性別推定、年齢推定などの機能を併せ持つ顔認識ソフトウェア「FaceU」をミドルウェアとして提供を開始する。これにより、主に店舗や駐車場の使用を想定したインテリジェントカメラ製品をより手軽に開発できるよう後押しするという。

「Armadillo-800」シリーズは、小型・省電力の組み込みプラットフォーム「Armadillo」ブランドの最上位シリーズである。50mm×50mmサイズという小型設計の「Armadillo-810」と、フルHDサイズのHDMI出力が可能な「Armadillo-840」の2製品がラインナップされており、いずれもカメラインタフェースを備え、インテリジェントカメラのプラットフォームとして量産用途にも利用することができる。

一方、これまでインテリジェントカメラの"考える"機能を実現するには、画像処理アルゴリズムを調達するか、またはOpenCVなどに代表される画像処理ライブラリを用いてユーザーがアルゴリズムを作りこむ必要があった。調達する場合、用途に合わせたカスタマイズができない、また少量生産時にはコスト高になり得る、といった点が問題になりがちである。また、アルゴリズムを作りこむ場合は、専門知識を持った開発者でないと実用レベルまで作りこむのが難しいことが障壁となっていた。特に、インテリジェントカメラの"考える"機能は用途や設置環境によって千差万別であるため、それを担うソフトウェアは柔軟にカスタマイズができる自由度を確保することが大きな課題となっている。

両社は6月より、「Armadillo-800」シリーズのユーザー向けにアットマークテクノのユーザーズサイトを通じて、ソフトセンサの評価用デモアプリの無償提供、およびSDKと開発ライセンスの提供を開始する予定。SDKを使うことで、自ら画像処理アルゴリズムを作りこまずに顔認識やナンバープレート認識などの機能を持ったアプリケーションを柔軟に開発することができる。また、量産ライセンスは少量生産の場合でも提供可能で、「Armadillo」製品本体と併せてアットマークテクノ販売代理店から販売される。

ナンバープレート認識で使用するイメージ